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どうしよう…もしかして、結構大事なことだったりするのかな…。
「大丈夫です。これはただの私の憶測ですし、違っていたら意味がないので。
ただ、一つ気になることがありまして。」
しのぶさんはそういうとパラパラと本をめくり出した。
そこから少し古臭い匂いと、埃が湧き出す。
これ、相当古いものなんじゃ…。
そして、ある一ページで止めた。
「このような歌が出来始めた頃から鬼は存在していました。
ここにはたくさんの歌とその作者が載っているのですが、一つだけ気になる歌があるんです。」
しのぶさんはそういうと私にそれを見せた。
その瞬間、全身に鳥肌が立つ感覚がある。
悪寒がする。
「この方の歌は一見、明るい歌詞に見えます。
春の訪れを感じるのどかな歌、夏の爽やかさを語る歌、秋の澄ました様子を語る歌、冬の雪を暖かさを語る歌など……。
しかし、一つだけ、全く対称的な歌があるんです。」
しのぶさんは次のページを開いた。
それだけなのに、なぜか…
すごく気持ち悪くなるのをぐっと堪える。
「見てもらえばわかる通り、まさに呪いの歌なんです。通称して"死の歌"と言われてきたようですが。」
「………この作者はなぜ、このような歌を書くことになったのでしょうか。」
単純に気になる。
今までは明るい、"生の歌"のような歌しか使ってこなかった人が、一体なぜなのか。
そしてこうして気になるのも、私は何か自分に関係のあることなのではと、心のどこかで思っているからだろうか。
「…どうやら、作者がこの世界に不満を持ってしまったことが原因だそうです。」
「と、言うと?」
「作者は感性豊かな人だったそうです。
自然を愛し、生命を愛した。
…しかし、それとは反対に、平気で命を奪い、平気で自然の摂理を壊す人がたくさんいるのだと。
そういう者が存在しているから世界は脅かされるのだと。
作者は初め、そのような人間に対して怒りを向けるだけだったようですが、次第にこの世界自体が悪いのだと、そう考えるようになってしまったみたいです。
そして、自分がこの世界を作り変えたい、自分の手で変えたいと思い、この世界に対して憎しみと嫌悪だけの感情で書いた歌がこの"死の歌"みたいです。」
「その作者はその後、どうしたんでしょうか。」
私がそう聞くと、しのぶさんは一度言葉を詰まらせた後、こう言った。
「行方知らずとなりました。」
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ななみ(プロフ) - #観音坂ゆるさん» ありがとうございます…(泣)ですよね…やっぱりちょっと酷な終わり方だと自分でも思いました…。やはり煉獄さんとちゃんと幸せになれる話を作らないとダメですよね?!うん!!私もそう思います!!これ以上持ちませんよね…笑 ご意見本当にありがとうございます!!! (2021年1月3日 20時) (レス) id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
#観音坂ゆる - 間違えました、次作です (2021年1月3日 2時) (レス) id: 647e80459a (このIDを非表示/違反報告)
#観音坂ゆる - あと自作の話なんですが…私はまた煉獄さんの話が良いです!今度は甘い感じのがいいです…いやほんとにこれ以上やったら死ぬ← (2021年1月3日 2時) (レス) id: 647e80459a (このIDを非表示/違反報告)
#観音坂ゆる - ちょっと待ってください??私のおめめが大変な事になっているんですが…← いやほんとめっちゃ感動しました!!つらいです( ;∀;)でも面白かったです!完結おめでとうございます! (2021年1月3日 2時) (レス) id: 647e80459a (このIDを非表示/違反報告)
ななみ(プロフ) - はりはりさん» ありがとうございます!!!!! (2020年11月29日 12時) (レス) id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃっぱ195 | 作成日時:2020年11月14日 18時