129話 ページ39
それからというと、
「…うん、怪我も大分治りましたね。
明後日には退院できるでしょう。」
『先生の個性のおかげです。
…よかったんですか？私なんかに使って…』
爆豪くんからも聞いた。
彼も、先生にたくさん助けてもらったって。
治癒系の個性は、こういった総合病院の医者であればなおさら、緊急時以外は使わないようにしているはずだ。
「あなたを待っている人がたくさんいる。
私にできるのはこの程度ですが、あなたにはそれ以上に
やらなければならないことがあるはずでしょう？」
『……いや、私を待っている人なんて…』
明確な理由もなく、世間には無期限のヒーロー活動休止を告げてしまった。
失望してしまった人もいると思う
私の存在なんて忘れた人もいると思う
色々なことを考えた時に、今更『帰ってきましたよーん！』…なんて、私には……
「…綺麗事を言いましたが、実は私の私情だったりもするんですよね、あはは。」
下を向いた私に、先生はそう言って笑った。
思わず顔を上げると、ゴソゴソとポケットの中から何かを取り出した。
『それ……』
「おや、どうやら君は知っているようですね。
隕石コンビのグッズです。
私も1人のファンでして…こうして、またあなたの、あなたたちの活躍を待っている人は少なくともここにいます。」
『ｯ……』
「胸を張ってください。
それに、そのような心配は無用だと思いますよ。」
『？』
ニコリと笑った先生の言葉には、何か含みがあったような気がしたけど、時間が来てしまってそれ以上は聞けなかった。
診察室を出ると、黒マスクに黒帽子を被った不審者みたいな人が腕を組んで壁に寄りかかって私を待っていた。
『来るなら言ってよ！』
「は？毎日来るに決まってんだろ。」
『えぇ…好き。』
「んで、どうだったんだよ。」
私と爆豪くんは病室に戻る間、歩きながら現状を報告する。
明後日には退院できることを伝えると「安心したわ。」なんて頭を撫でてきた、好き。
それでも…私はやっぱりモヤモヤしちゃって。
退院して、その後私はどうするの…？
このまま公安の下で秘密裏に任務をこなすの？
「……何か悩んでんなら言え。」
……すぐ、バレちゃうなぁ。
私の顔を覗きながら言う爆豪くんの目が優しくて、全て吐き出してしまいたい…けど、怖い。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1619人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あめみや(プロフ) - め"っ"ち"ゃ泣け"ま"す"(;_;)か"っ"ち"ゃん"ん〜〜 (2023年4月28日 17時) (
レス) @page37 id: a179dcb416 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - あおいさん» はじめまして…！♡一言だけどおっしゃらず、おっっもたいお言葉送っていただいても大丈夫ですよ？およよ？(調子乗んな)嬉しいです…ありがとうございます…！(泣) (2022年9月26日 19時) (レス) id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - しろごまさん» ここまで読んでくださり、本当にありがとうございました…！(泣)駆け足気味だったかな…？と思いつつ、かっちゃんの心境の変化、それに伴う行動の変化を書くことができて安心しております(^^)そう言っていただけて嬉しいです(泣)ありがとうございます！！ (2022年9月26日 19時) (レス) id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
あおい(プロフ) - はじめましてなんですけど一言だけ失礼します…最高かよぉー！！！ (2022年9月20日 22時) (レス) @page50 id: 01cd2e0a3b (このIDを非表示/違反報告)
しろごま - 完結お疲れ様でした！最初は爆豪…って思ってたんですけど、続編まで行くとシャイニーちゃぁぁんー（号泣)になって、最後はもうほんとに二人共可愛すぎて言葉にならなかったです！とにかくほんとに面白い作品でした！他作品の更新応援してます！長文失礼しました💦 (2022年9月19日 19時) (レス) @page50 id: 4dc97dea49 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちゃっぱ195
| 作成日時：2022年8月3日 0時
