59話 ページ10
その笑顔、見覚えが………
記憶を辿っていると、「時間がない。」なんて今度は真面目な顔をする。
「安心しなさい。私は君の味方だ。
ここではそれなりの権力もあるから安心してくれ。」
「おっさん何者なんだよ。」
「私かい?私は………」
と、その時だった。
再びバタバタと走ってくる音が聞こえてきた。
おっさんは「おっと、マズイね。」なんて笑う。
「すべての人間を制御できるわけじゃない。
ここには私の派閥と、もう一つの派閥、所謂敵がいる。
さっきの男たちはギリギリ私の権力が働く者たちだったが、これから襲ってくるのは敵ばかりだろう。」
「……おっさん、どこかで見たことある気がすんだけど。
マジで何者?」
その質問に答えることはなく、「その先を真っ直ぐ行けば裏口がある。そこから逃げなさい。」とだけ言って低く構えた。
結局答えを聞くことはできなかったけど、俺はその言葉を信じて走った。
「ほんと……"アイツ"は罪な女の子だよ。」
そんな呟きなんて当然聞こえるわけもない。
屋根の下に出て、思いの外強い雨が降っていたことに今気がついた。
そんなの気にする暇があるわけなくて、視線の先に見えた裏口に真っ直ぐ走った。
「行かせるわけないでしょう?」
「まあ、そうなるわな。」
ソイツの後ろには、明らかに今までの手下とは違うヤバそうなやつ。
ソイツの圧力があまりに強すぎて、意識をそっちに完全に持ってかれてた俺は背後から迫ってる気配に気が付かなかった。
ザンッ!
「ッ……!」
鋭い痛みが肩から背中にかけてじわじわと広がる。
思わず地面に膝をつければ、すぐに頭上から足が振り下ろされて、俺は頭を地面に擦り付けるような体勢になった。
クッソ……
あと少しだったのに……!
「みんな……私のそばから離れていく。
お母さんも……伏黒くんも……みんな…みんな…ッ!」
雨が降る中、苦しそうに叫んだその声は鮮明に聞こえた。
押さえつけられている頭をなんとか動かして前を見ると、
「ねぇ……なんで…」
雨なんかじゃない。
ソイツの頬を流れるそれは、確かに涙だった。
「私も………ヒロインに……ッ」
「だから、お前ももうヒロインだろ。」
「違う!私だけでいい……」
「ディ○ニーだってプリンセスが1人じゃねぇからいいんだよ!」
「……は?」
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K - ヤバい。悠仁編の小説、これめちゃキュンキュンした。ありがとうございます!!私の好みにピンポイントで当たってる!!やばいこれには、沼った (2022年8月1日 6時) (レス) @page29 id: f72f202f06 (このIDを非表示/違反報告)
美悠 - ちゃっぱさん» 完結おめでとうございますー!!!新作ももちろん読ませていただきます! (2022年4月23日 17時) (レス) @page30 id: 4ccee94cf3 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - 美悠さん» これには虎杖悠仁も感動のあまり、自ら涙を流しますよ。彼の涙加えたらもう完璧です。(?????) (2022年4月17日 21時) (レス) id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
美悠 - ちゃっぱさん» 涙で作った泉ですか…悪くないですな…ムフフ(既に手遅れ) (2022年4月16日 13時) (レス) id: 4ccee94cf3 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - 美悠さん» そうですよね………!これからもダンジョン化させていきますね。(やめろ)我々の愛溢れる涙で虎杖悠仁を崇めるための泉作りませんか?(マジで何言ってんのかわからん) (2022年4月12日 0時) (レス) id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃっぱ195 | 作成日時:2022年3月17日 20時