73話 ページ24
雨の日は嫌いだった。
いいことが起きた試しがねぇから。
"あの日"だって、俺にとっては不運な日だったとも言えるのに。
傘を持って突然現れた君と出会って、俺は少しだけ雨の日が好きになった。
なんだか、良いことが起きそうな気がして。
夢中にAを求めて、Aから溢れ出る愛らしくて切ない声に満たされて、いつの間にか降っていた雨に気づいたのは翌朝だった。
外から聞こえてくる雨音を聞きつつ、俺は隣ですやすやと眠るAを眺めていた。
「相変わらず幼い顔して寝るなぁ。」
もう遠慮なしに触っていいんだもんな。
その事実が嬉しすぎて、手を伸ばして少し頬に触れたらピクッと動いた。
『んー……』
「Aー、起きてー。」
『まだ寝るのぉ………』
「んぐっ……!」
そして相変わらず朝に弱い!!!
俺の彼女こんなに可愛くて大丈夫?
大学なんて行ったら絶対狙われるよな?
え、すげぇ嫌なんだけど。
そんなこと言ったってどうしようもないけど。
って、それより。
「卒業式遅れるぞー。」
『っ…は!そうだった!』
「着替えて来いよ。俺が朝飯作っとくから。」
『悠仁くんのご飯…!急いで支度します!』
目輝かせちゃって、マジで可愛い。
でも、その気合とは裏腹にAはベッドから降りた瞬間、ガクッ!と腰を曲げてしんどそうに歩いて行く。
……やべぇ、昨日がっつきすぎたか。
「あの……ごめん。」
『何が?』
「え?」
『へ?』
………。
もしかして、そういうもんだと思ってる?
まあいいや……とりあえず俺はご飯作ろう。
今日が終われば、俺が卒業するまでの一年間、またAに会えない。
五条先生や伏黒、釘崎は気にすんなって言ってくれてるし、会いに行けとも言ってくれてるけど…俺が納得できないから。
ちゃんと一区切りつけて、Aと向き合いたいから。
『ん〜!美味しい!』
「俺が言えたことじゃないけど、あんまゆっくり食べてっと遅刻すんぞ?」
『ほんとだ!うぅ…また1年悠仁くんのご飯お預けけぁ…』
「そんな寂しそうな顔すんなよ…!
俺だって我慢してるのにっっ!!」
あーもう!
Aのギャップってどうなってんの?ほんと。
カッコいい時はとことんカッコいいのに。
『…行ってきます。』
「おう。気をつけてな!」
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K - ヤバい。悠仁編の小説、これめちゃキュンキュンした。ありがとうございます!!私の好みにピンポイントで当たってる!!やばいこれには、沼った (2022年8月1日 6時) (レス) @page29 id: f72f202f06 (このIDを非表示/違反報告)
美悠 - ちゃっぱさん» 完結おめでとうございますー!!!新作ももちろん読ませていただきます! (2022年4月23日 17時) (レス) @page30 id: 4ccee94cf3 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - 美悠さん» これには虎杖悠仁も感動のあまり、自ら涙を流しますよ。彼の涙加えたらもう完璧です。(?????) (2022年4月17日 21時) (レス) id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
美悠 - ちゃっぱさん» 涙で作った泉ですか…悪くないですな…ムフフ(既に手遅れ) (2022年4月16日 13時) (レス) id: 4ccee94cf3 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - 美悠さん» そうですよね………!これからもダンジョン化させていきますね。(やめろ)我々の愛溢れる涙で虎杖悠仁を崇めるための泉作りませんか?(マジで何言ってんのかわからん) (2022年4月12日 0時) (レス) id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃっぱ195 | 作成日時:2022年3月17日 20時