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51話 ページ2

悠仁くんって、本物の家族みたいだったんだなぁ…。



無駄に広い部屋の真ん中で1人、そんなことを思った。





悠仁くんがいないだけで、随分と寂しい家になってしまった。



ご飯だって、2人分あるのがもう当たり前になっていて。





寂しさを紛らわすように、ただテレビをつけて聞こえてくる音と声で部屋を満たしていた。







もしかしたら今日は…




そんな淡い期待で最近はご飯を作りすぎてる。



ダメだなぁ……





『……会いたいよ。』






そんなことを呟いたって、彼に届くわけじゃないのに。










「最近彼氏くん見かけないね。」


『…………うん。』


「……。」





ちゃんとご飯食べてるかな。


またあの日の時みたいに、ボロボロになってないかな。





寂しく、ないかな。








ムギュッ





『…ふぇ?なに?』


「何があったのか知らんけど、
本当に大事な人なら離しちゃダメだよ。」


『けど……』


「あーはいはい。
それ以上ネガティブな発言は禁止。」






ぷにっと私の頬を掴んでいた手を離した友達は、にっこり笑った。






「結果がどうであっても、私がいるよ。」




『……うん…ありがとう……ッ。』




「え…!まさか泣くとは思わなかった!
ハンカチ!ほれほれ!」







…うん、ありがとう。



そうだ、私はまだ"何もしていない"じゃん。





探す努力も



悠仁くんの心の声を聞く努力も




何も。






こんなところで立ち止まってちゃ、あの時と同じだ。




弱いままの自分ではいられない。









「虎杖……俺は知らねぇ。」



『本当に?』



「……。
なんかお前…雰囲気変わったな。」






目を丸くした伏黒くんが私にそう聞いた。


そんなのは自分じゃわからない…けど、





『……弱いって、不便だね。』


「お前……」


『もし私にも、戦える力があって、悠仁くんのこと理解できるような世界にいたら何かが違ったんだろうなぁ。』


「……。」



『でも…それは中学の時も同じ。


私に知恵と力があれば、きっと伏黒くんの気持ちにも寄り添えた。』






でも…どうしようもないことだってあるから。


私にできることをやるしかない。






『伏黒くんがどうしても教えてくれない理由があるなら、それでもいい。
私は自分の力でできることをやるよ。』






下を向いて何かを考える伏黒くんを背に、私はその場を後にした。




…とは言っても、まったく検討もついてないんだよなぁ。

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設定タグ:呪術廻戦 , 虎杖悠仁   
作品ジャンル:アニメ
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K - ヤバい。悠仁編の小説、これめちゃキュンキュンした。ありがとうございます!!私の好みにピンポイントで当たってる!!やばいこれには、沼った (2022年8月1日 6時) (レス) @page29 id: f72f202f06 (このIDを非表示/違反報告)
美悠 - ちゃっぱさん» 完結おめでとうございますー!!!新作ももちろん読ませていただきます! (2022年4月23日 17時) (レス) @page30 id: 4ccee94cf3 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - 美悠さん» これには虎杖悠仁も感動のあまり、自ら涙を流しますよ。彼の涙加えたらもう完璧です。(?????) (2022年4月17日 21時) (レス) id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
美悠 - ちゃっぱさん» 涙で作った泉ですか…悪くないですな…ムフフ(既に手遅れ) (2022年4月16日 13時) (レス) id: 4ccee94cf3 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - 美悠さん» そうですよね………!これからもダンジョン化させていきますね。(やめろ)我々の愛溢れる涙で虎杖悠仁を崇めるための泉作りませんか?(マジで何言ってんのかわからん) (2022年4月12日 0時) (レス) id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちゃっぱ195 | 作成日時:2022年3月17日 20時

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