54話 ページ10
電話越しにAが啜り泣いているのがわかる。
思わず出そうになった舌打ちを我慢した。
……ただの嫉妬で、ここまでアイツを嫌ってるって言ったら、Aは僕に怒るんだろうなぁ。
嫉妬だけじゃない、まだ疑問点はある。
あの日、店から出てきて気絶したAを抱えたままどこかへ連絡していた山本翔太…いや、禅院翔太を僕は忘れたわけじゃない。
助けようとしていたのか…でも、考えればおかしいんだ。
お前より、僕の方が何億倍も強くてAを守れるんだから、そんな必要はないってわかってるはずなんだ。
「………また、裏で何かが動いてる。」
…いや、正しくは"まだ"の方がいいか。
………あー、今すぐにでも確かめに行きたいところだけど、僕が下手に動けばAに何されるかわかったもんじゃない。
なるべく慎重に、でも的確に、早い対応がいい。
時間は多分、あまりない。
『………あ。』
目を少し腫らしてAは店から出てきた。
その横に、アイツの姿はない。
「何泣いてんの。」
『だって………』
「…本当に、君は昔からお人好しだね。」
抱きしめようと腕を伸ばせば、案外素直に従ってくれて大人しく僕の腕の中に収まった。
頭と背中を撫でてあげながら、あー…本当に華奢で小さいなぁなんて思った。
ねぇ、A。
もし、あの時に出会ったのが禅院翔太じゃなくて僕だったら…何か変わってたんだろうか。
今よりもずっと幼い時に、何も考えずに君の手を取っていたら、こんなにも傷付かずに済んだのかな。
何も知らなかった自分が悔しくて仕方ないよ。
君の存在を知ったのが、まさか何年も先のことになるなんて…。
僕はある意味、Aと同じだと、そう思い込んでた。
でも違う。
君は僕と同じ世界に生きていて、その中の知らない世界を歩いていた。
ギュッ
「……そろそろ、僕が持つ権力を使う時が来たのかな。」
『え…?』
「言っとくけど、僕の方が君のことをちゃんと見てるし、好………」
『?』
………。
…まずいな。
背後に、何かいる。
禅院翔太…あの野郎、ちゃんとお土産は持ってきてるってか。
いや…これも利用されただけか。
禅院家の連中に、今日Aと会うことがバレてここにいるって感じか。
「高専に戻るまで僕から離れるな。」
いよいよ手段を問わない感じかな?
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きのこ姫(プロフ) - 禪院が禅院になってますよ〜 (3月8日 10時) (レス) @page6 id: 5521fd53c5 (このIDを非表示/違反報告)
園実(プロフ) - 言葉の使い方がおかしい所が多すぎて… (2022年2月14日 6時) (レス) @page18 id: 583543dbeb (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - ayastさん» ありがとうございます…!そう言っていただけて本当に本当に嬉しいです…(涙)この作品を見つけてくださり心より感謝しています^_^ (2022年2月12日 21時) (レス) id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
ayast(プロフ) - 連載お疲れ様でした!!お話大好きでした! (2022年2月9日 23時) (レス) @page35 id: af36fdec29 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - はなさん» わわわ…!本当ですね!教えていただきありがとうございます🙇🏻♀️ やっぱリップ、、じわじわきます…www (2022年2月5日 22時) (レス) @page25 id: 960672bf5f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃっぱ195 | 作成日時:2022年1月20日 21時