51話 ページ7
「ちゃんと目深に帽子を被りなさい。」
『それ以上押さえられると頭が潰れます。』
「マスクも大きいの付けて!はい!」
『わかってますって……。』
そうして出来上がったのは、完全に不審者のそれ。
ここまでしないと、今のご時世的に私が外に出歩くのは難しいんだけど…鏡を見て思わず溜息が溢れそうになる。
「……ねぇ、本当に行くの?」
『彼の真意を聞かないと、モヤモヤしたままな気がするんです。』
高専内を五条悟と歩きながら答える。
伊地知さんと呼ばれる人が運転する車に、2人で後部座席に座る。
"聞きたいことがあるので、都合が合う日はありませんか?"
山本さんにそうメッセージを送って、送られてきた日時が今日だった。
五条悟にそれを言えば、「危ないからやめて。」と凄い圧をかけて止められたけど、同伴するのを条件になんとか連れ出してもらっている。
「Aを庇った理由なんて聞くまでもないだろ。」
『どうしてですか?』
「逆に君は気づいてないの?」
『?』
五条悟は不機嫌そうにそっぽを向いた。
前からそうだけど…最近は、いつにも増して山本さんの話をするとこうやって不機嫌が加速している気がする。
なんてしている間に目的地に到着して、私と五条悟は車から降りる。
……が、
「…何?この手は。」
『ここからは私1人で行きます。』
「僕が許すとでも?」
『そんなこと微塵も思ってないです。』
五条悟の前に、止まれと言わんばかりに手を出せば凄く怖い声色で言われて思わず怯みそうになる。
それでも……
『2人で話がしたい。』
「……。」
『でも、私も不安です。
だから、何かあればいつでも助けてもらえるようにポケットの中で電話を繋げておきます。』
「だったら……」
『2人じゃないと聞けない話もあると思うんです。
彼だって、何かあるはずなんです。』
もし、五条悟が言っていたように、彼が"駒"として使われていたのなら。
あの笑顔の裏に、ドス黒い何かが渦巻いているのなら。
私と、"同じ"なのだとしたら。
「………一万歩譲って、Aの意見を尊重するよ。」
『ありがとうございます。』
五条悟はそれでも納得いかない顔をしていた。
わかってる。
でも私はあなたを信じているからこうやって背中を向けることができる。
それはきっと、伝わっているはず。
『……お久しぶりです。山本さん。』
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きのこ姫(プロフ) - 禪院が禅院になってますよ〜 (3月8日 10時) (レス) @page6 id: 5521fd53c5 (このIDを非表示/違反報告)
園実(プロフ) - 言葉の使い方がおかしい所が多すぎて… (2022年2月14日 6時) (レス) @page18 id: 583543dbeb (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - ayastさん» ありがとうございます…!そう言っていただけて本当に本当に嬉しいです…(涙)この作品を見つけてくださり心より感謝しています^_^ (2022年2月12日 21時) (レス) id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
ayast(プロフ) - 連載お疲れ様でした!!お話大好きでした! (2022年2月9日 23時) (レス) @page35 id: af36fdec29 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - はなさん» わわわ…!本当ですね!教えていただきありがとうございます🙇🏻♀️ やっぱリップ、、じわじわきます…www (2022年2月5日 22時) (レス) @page25 id: 960672bf5f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃっぱ195 | 作成日時:2022年1月20日 21時