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五条悟は果たしてその視線に気づいているのかどうか、「お願いしマース。」なんて心のこもっていない返事をして私なんかよりも堂々と歩いて行ってしまう。
その間も、ずっと周りの視線は彼に釘付けで。
クイッ
「ん?どうした?」
『……今更ながら、ちょっと後悔中です。』
「あは、嫉妬?」
『気づいてたんですかこの野郎。』
「口悪いのがバレちゃうよ?」
五条悟は先程までの貼り付けたような顔を一転させてニンマリと笑うと、私の手を引いて私の耳元に口を寄せる。
人前で、しかもこの状況でこの距離感を急にしてくるのはダメだろう…!
「そんな薄っぺらい服で、他の男と撮影が決まってた時から僕の心情がどんだけ荒れてたか知らないでしょ?」
『ッ……』
「これで僕の気持ちわかった?」
『……はい。』
もしかして…五条悟は毎回こんな気持ちになっていたのだろうか……。
私が五条悟の立場だったら耐えられないかもしれない…。
なんだか少しだけで心がスッキリして、それから間も無くしてようやく撮影が始まる。
……のだが、
『ぬ…脱ぐんですか?』
「あれ…打ち合わせでも言った気がするんだけど。」
…そういえばそんなことを言っていたかも。
恥ずかしながら五条悟のことで頭いっぱいだったからすっかり忘れてた。
ただでさえ薄くて透けかけている上の服を脱げば、ほぼ下着と同じような短い服一枚になる。
同じような撮影はしたことあるとはいえ、男の人と撮影するのは初めてだし、何よりその相手が感情を無にできない相手なんだが……?
「……えー、やっぱ脱ぐの?
あんま見せたくないなぁ。」
『……恥ずかしい、』
「ッ…まじか…」
私がそう言えば、さっきまで飄々としていたのにその表情も崩れて頭を抱えてしまった。
だって…素肌を見られたことがあるとはいえ、こんなに人がいる明るい場所で、なんて恥ずかしい。
「君がちょっと強引にくっつくような感じで…そうそう!いい感じ!」
フラッシュがたかれる中で、五条悟は遠慮なく私を背後からほぼ抱きしめる形でくっついてくるから、私はもう表情を作るのに必死だ。
少しうなじにかかる吐息がくすぐったくて、触れ合う素肌から熱が全身に広がっていくみたいで、もう気が気じゃない。
「……僕が見てきた中で1番顔が強張ってるよ?」
『だ、だって……』
「あー……キスしたい。」
『へぁ…?』
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きのこ姫(プロフ) - 禪院が禅院になってますよ〜 (3月8日 10時) (レス) @page6 id: 5521fd53c5 (このIDを非表示/違反報告)
園実(プロフ) - 言葉の使い方がおかしい所が多すぎて… (2022年2月14日 6時) (レス) @page18 id: 583543dbeb (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - ayastさん» ありがとうございます…!そう言っていただけて本当に本当に嬉しいです…(涙)この作品を見つけてくださり心より感謝しています^_^ (2022年2月12日 21時) (レス) id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
ayast(プロフ) - 連載お疲れ様でした!!お話大好きでした! (2022年2月9日 23時) (レス) @page35 id: af36fdec29 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - はなさん» わわわ…!本当ですね!教えていただきありがとうございます🙇🏻♀️ やっぱリップ、、じわじわきます…www (2022年2月5日 22時) (レス) @page25 id: 960672bf5f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃっぱ195 | 作成日時:2022年1月20日 21時