ある日、私にセコムができた 2【五条悟】［完］

48話 ページ4

五条悟から言われたのは、「なるべく部屋からは出るな。」「僕以外の部屋に訪れた人には応じるな。」だった。




私はそれに従うしかなくて、1人で大人しく今まで忙しくて見ることができなかったドラマを部屋で一気見して時間を潰していた。






ｽﾞｷｯ




『いたっ……』




でもこうやって、たまに頭が痛くなる。


記憶の整理が追いついていないのか、グルグルとした感覚に襲われることがある。




ほとんど記憶は戻っている、でもわからないこともある。






自分の傷のこと、私の記憶を消した人物のこと、とか。





『……でも、記憶を消した人は私を助けてくれた人なんだよね。』




そうだとしたら…ちゃんとお礼が言いたいなぁ…とか思ったり。





……それより、五条悟はいつ帰ってくるんだ。



部屋に1人だと、段々と退屈してくる。






ｺﾝｺﾝｯ



「Aさーん！遊びに来た！」


『虎杖悠仁、くん？』




僕以外には応じるなって言われたけど…教え子くんならいいかな？



少しだけドアを開けて外を覗くと、「こんばんは！」なんて元気よく挨拶してくれる。




そしてよく見ると、虎杖悠仁くん以外にあの日あの場にいた伏黒恵くんと、釘崎野薔薇ちゃんもいた。





「Aさん暇してるだろうからって、ゲーム持ってきたんだけど、やらない？」


「やめとけよ。五条先生に怒られるぞ。」


「とか言いつつ、アンタもついてきてんじゃない。」


「俺はお前らのストッパー係だ馬鹿。」


「馬鹿は余計！」






『…ふふ。ありがとう。』





五条悟の教え子たちは面白くて元気な子達だなぁ。


でも、雰囲気に敵意や悪意、企みは明らかになかったから私は部屋に通した。






「えっ…ちょ、Aさん強くねぇ？！」


「待って…負ける…！おい伏黒！お前も応戦しろ！」


「もう負けてんだよ。言わせんな。」


『あれ、私意外と強い？』





久しぶりに、何も考えずに楽しむことができて時計なんてまったく見ていなかった。



盛り上がっているから他の物音にも気がつかず、私があと一歩で優勝できるという時、





「なーにやってんの。」



ｸﾞｲｯ




『あ…ちょっと！』




後ろからコントローラーを取り上げられて、睨むように振り返ってフリーズする。



五条悟が私達を見渡すと、周りからﾋｭｯと喉が鳴る音がした。





「お前らさぁ……」


「ご、ごめんなさ…」


「こういうのは僕も混ぜてよっ！」



『………ん？』

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