68話 ページ24
『……なんですかこれ。』
「いいからいいから。」
渋る私に五条悟は容赦なくて、気がつけば着せられていた立派なお召し物を引きづりながら彼の後を追う。
…というより、
『……カッコいい。』
今から何が始まるのかは知らないけど、普段は隠された目も今日は露わになっていて、おまけに初めて目にする和服姿に私が昇天しそうなのだが。
バレないように後ろから堪能していたはずなのに、五条悟はぐりんとこちらを向いた。
「でしょ?」
『〜ッ!』
ニヤリと笑った五条悟。
…完全にやられた。
「あまりのカッコよさに脱がさないでね?」なんて言うもんだから、動かしにくい足を上げて蹴りをかませば相変わらず防がれた。
「Aは黙って僕の隣にいればいいから、ね?」
それだけ言ってスパンッと襖を開けた五条悟の後ろから中を伺う。
なんだか、凄く風格のある人たちが勢揃いしてる。
中に入っていく五条悟に置いていかれないように慌てて着いて行く。
五条悟は「よいしょー。」なんて呑気に腰を下ろす。
下から目があって、私も隣に正座をすれば五条悟が息を吸う。
「もう知ってると思うけど、この子に処刑の必要はない。」
「……。」
「それでも何かあるなら聞きますけど?」
恐る恐る横を見ると、至って真面目な顔をして前を向く五条悟がいた。
その視線の先を辿れば、何か言いたげに顔を歪める何人かの人達が。
でも、しばらく経っても誰の口からも言葉が発せられることはなかった。
「ご理解の早いことで助かりますよ。」
「…お前、わざわざここに足を運んだからには何か別の目的があるのだろう?」
「お察しの良いことで。」
五条悟は私の方を向くと、にっこりと笑った。
そして手を優しく取ると、再び前を向いて言ったんだ。
「僕が結婚するのは、Aだ。」
『………はい?』
この人、何を急にぶっ込んでるの…?
驚きが勝ちすぎて何も言えない。
…結婚?
私が、五条悟…と?
『そんな話聞いてな……んぐッ!』
「黙ってて。」
私は頷きもせず睨み上げていたけど、五条悟は私の口から手を離して続ける。
「悪いけど、くだらないお見合いなんかに付き合うつもりはない。
僕の相手は、もう何年も前から決まってる。
これだけは絶対に譲らない。
僕の何に変えても。」
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きのこ姫(プロフ) - 禪院が禅院になってますよ〜 (3月8日 10時) (レス) @page6 id: 5521fd53c5 (このIDを非表示/違反報告)
園実(プロフ) - 言葉の使い方がおかしい所が多すぎて… (2022年2月14日 6時) (レス) @page18 id: 583543dbeb (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - ayastさん» ありがとうございます…!そう言っていただけて本当に本当に嬉しいです…(涙)この作品を見つけてくださり心より感謝しています^_^ (2022年2月12日 21時) (レス) id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
ayast(プロフ) - 連載お疲れ様でした!!お話大好きでした! (2022年2月9日 23時) (レス) @page35 id: af36fdec29 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - はなさん» わわわ…!本当ですね!教えていただきありがとうございます🙇🏻♀️ やっぱリップ、、じわじわきます…www (2022年2月5日 22時) (レス) @page25 id: 960672bf5f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃっぱ195 | 作成日時:2022年1月20日 21時