66話 ページ22
「何…言ってるの。
あなたがこの世に存在するだけで、私はいつだって苦痛を虐げられるのよ!!!」
『ううん、私はもう死んでるよ。』
怒りからか、それとも恐怖からか、震えて私を威嚇するお母さんに近寄る。
手を振り払われても、どれだけ拒絶されてもいい。
ギュッ…
『加茂Aは、もういない。』
「は………」
『もう、昔のようにただ狭くて暗い世界に閉じこもる私はいないよ。
それは…お母さんが1番よくわかってるんじゃないの?』
だってこの部屋に入った時から、
私の話を静かに聞いている時も、
あなたはまるで私を別人のようにして見ていたんだから。
『ずっと苦しい思いさせてごめん。
もう大丈夫だから。
もう、いいから。』
「あ……あぁぁ……!
ごめんなさ……ごめんなさ、い…ッ!」
スゥッ…と、何かが私の中から消えていく感覚がした。
あぁ…なんだろう。
凄く軽いや。
「解呪……ってところか。」
1人の男は、その光景を複雑そうな…でも、どこか安心したような顔で最後まで見ていた。
「…僕は許してない。」
『まだそれ言ってるんですか?』
「身の安全も兼ねて。」と五条悟が聞いてくれず、なぜかこの五条家というとんでもないところで一夜を明かすことになってしまった。
2人きりの空間で、五条悟はずっと納得の言っていない顔でそれを言う。
「なんで許したの。
僕なら無理だね。実の親が酷い。」
『許した…っていうか、元から私は何も怒ってもないですよ。』
『だって、全部仕方なかった。』と私が言うとさらに眉間に皺を寄せる。
あの後、お母さんは加茂家に引き取られていった。
でも、最後の最後に私を振り向いたんだ。
ちゃんと、"今"の私をまっすぐ見て、
「ごめんね…ありがとう。」
初めて私に微笑んでくれた。
もうそれだけで私はいいんだ。
「このお人好しめ。」
『いたっ……へへ。』
「ッ…なーに笑ってんの。」
『別に何でもいいじゃないですか。』
だって、今は凄く心が軽い。
不思議と、今までより気持ちも前向きだし、何より見える世界が数段明るく見えている。
「Aの足枷はこれで無くなったよ。」
それが、私にかかった呪いが消えたということははっきり言われなくてもわかった。
そっか…私、もう……
「A」
『わっ…!』
ドサッ
「…好きだよ。」
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きのこ姫(プロフ) - 禪院が禅院になってますよ〜 (3月8日 10時) (レス) @page6 id: 5521fd53c5 (このIDを非表示/違反報告)
園実(プロフ) - 言葉の使い方がおかしい所が多すぎて… (2022年2月14日 6時) (レス) @page18 id: 583543dbeb (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - ayastさん» ありがとうございます…!そう言っていただけて本当に本当に嬉しいです…(涙)この作品を見つけてくださり心より感謝しています^_^ (2022年2月12日 21時) (レス) id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
ayast(プロフ) - 連載お疲れ様でした!!お話大好きでした! (2022年2月9日 23時) (レス) @page35 id: af36fdec29 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - はなさん» わわわ…!本当ですね!教えていただきありがとうございます🙇🏻♀️ やっぱリップ、、じわじわきます…www (2022年2月5日 22時) (レス) @page25 id: 960672bf5f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃっぱ195 | 作成日時:2022年1月20日 21時