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63話 ページ19

「A……A…ッ」


『い、痛い痛い…!』




都会のど真ん中…の、路地裏で一度宙から降りた五条悟は、地に足をつけると同時に私をこれでもかというくらい抱きしめて離さない。




痛くて声をあげても、届いていないのか私の肩に顔を埋めて名前を呼び続けている。




肩を掴んで離そうとしても「やめて。」なんて、いや…こちらの台詞なのだが。





「………バッッッカじゃないの。
あんなことして、下手すればマジで死んでたんだよ。」


『だけど……』


「何も言い訳すんな。
僕の心配をこれでチャラにしてやるから。」





その会話中もずっと私の肩に顔を預けていた。



あ……よく見れば、僅かに震えてる…?




もしかして、本当に私が消えるかもしれないと思って……






あぁ…なんで私は彼のことを考えていなかったんだろうか。


私だって、この人が死んでしまうかもしれないって悟ったら同じようになっていただろうに。





『ごめん…なさい。』




そう考えれば考えるほど、今、五条悟がどんな心情なのか痛いほど理解できてしまう。



私も、五条悟の存在を確かめるように力の限り抱きしめ返した。






「……自分でも驚いてるよ。
まさかここに来てまで、何かにここまで恐れる日がくるなんて。」


『…あなただって人間ですから。』


「うわ、なんか今のすごい腑に落ちた。」


『そうですかい。』




そしてパッと体が離されて、五条悟が優しく微笑む。


そこにアイマスクはなくて、その綺麗な目と目が合う。




あぁ…なんだろう。


"好き"っていうのがよく伝わるこの感じ。





……でも私、この人から好きって言われたことないんだけど、私の見当違いだったらどうしよう。






「A、ちゃんと言うから。」


『え……?』


「だから、後もう少し待って。」





「まだやることが残ってる。」と言う五条悟は私を再び抱えてどこかへ行こうとする。




ちゃんと言うから、というのはつまりそういうことでいいのだろうか。



前にも同じようなことを言われた気がするけど、私はそうだと信じてただ落ちないようにギュッと捕まった。




大丈夫、この人となら大丈夫。





「じゃ、最後の一仕事と行きますか。」








.







大きく聳え立つ建物に空いた口が塞がらない。



そんな私を五条悟は笑って、「はい。」なんてスマートに手を差し出す。



大きな門と、長いアプローチを通った先に待っていたのは"五条"と書かれた大きな表札。

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設定タグ:呪術廻戦 , 五条悟   
作品ジャンル:恋愛
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きのこ姫(プロフ) - 禪院が禅院になってますよ〜 (3月8日 10時) (レス) @page6 id: 5521fd53c5 (このIDを非表示/違反報告)
園実(プロフ) - 言葉の使い方がおかしい所が多すぎて… (2022年2月14日 6時) (レス) @page18 id: 583543dbeb (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - ayastさん» ありがとうございます…!そう言っていただけて本当に本当に嬉しいです…(涙)この作品を見つけてくださり心より感謝しています^_^ (2022年2月12日 21時) (レス) id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
ayast(プロフ) - 連載お疲れ様でした!!お話大好きでした! (2022年2月9日 23時) (レス) @page35 id: af36fdec29 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - はなさん» わわわ…!本当ですね!教えていただきありがとうございます🙇🏻‍♀️ やっぱリップ、、じわじわきます…www (2022年2月5日 22時) (レス) @page25 id: 960672bf5f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちゃっぱ195 | 作成日時:2022年1月20日 21時

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