ある日、私にセコムができた 2【五条悟】［完］

61話 ページ17

今だ…今しかない。


私は山本さんにアイコンタクトを送る。




『今のうちに逃げて。』と。





この混乱に乗じて山本さんを逃すのが私の役割だ。




「ｯ…！でも………」



『早、く……ｯ！！』




そうじゃないと、ますます呪霊の数が増えて、大きくなって隙なんて無くなってしまう。




段々と息が苦しくなる。



人に胸ぐらを思いきり掴まれて、周りからは呪霊に取り囲まれて。






……結局、私は最後の最後まで醜く、荒んだ終わり方しかできないような人だった。




でも、それでいいの。


私が最初から何かを求めることが、きっと間違っていた。





そう、最初から何も期待なんてしなければよかった。



最初から自分の運命をただ受け止めて、大人しく陰で生きていればよかったんだ。






そうしていれば……






ﾂｰ…





『ｯ…。』







こんなに悲しくて、死ぬのが嫌だなんて思わなかったのに。







"「俺を信じろ」"





あの日、あの場所で私はあなたという希望の光に出会ってしまった。




ずっと、手を伸ばしていた。



ずっと、信じていた。






それは昔も、今も変わらずに。








あぁ…ダメだ。

どんどん目の前が真っ暗で、淀んだ空気に飲み込まれていく……。





その僅かな光さえも消えていく。







『ｯ！！』




まだ諦めない。


何が私を底上げしているか…？



そんなの一つに決まってる。







届け…！


あの小さな光に、私の手を伸ばせ……ｯ！









ﾊﾟｼｯ!



















「一緒に飛びに来たよ。」










それは、あなたを信じることだ。

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