55話 ページ11
「伊地知!」
もはや五条悟に担がれる形で私達は車へ戻ると「出せ!」と五条悟は叫ぶ。
何…?!急に何なの?!
伊地知さんも訳がわからないまま、シートベルトを付けると同時に車を発進させた。
何か、あるの…?
「外見ちゃダメ。」
『ぐえっ…』
後ろから思い切り服を引っ張られる。
もう、女の子になんて仕打ちだ。
でも、珍しく焦る…いや、これはイラついているのか?
あまりに不機嫌な顔で外を警戒して見ていたから、私は大人しくした。
「……うーわ、やっぱり後つけられてる。
もっとスピード出せる?」
「法定速度ギリギリなのですが?!」
「………仕方ない。
Aを奪られるよりはマシか。」
一体何の話…?
でも、ただごとじゃないことだけはわかる。
私の心配が顔に出ていたのか、五条悟は「大丈夫。」とやっと笑顔を浮かべてくれると、伊地知さんに停まるように指示した。
「他にいるかもしれない。
僕が足止めしている間に早く戻って。」
そう言いながら五条悟が車から降りて行くから、ただ不安しか募らない。
まさか……私のせい…?
それ以外にもはや理由が見つからない。
『あの…ッ!』
身を乗り出した私を、五条悟は肩を優しく押し返して止めた。
そして言うんだ。
「僕を信じて。」
『ッ…!』
「ほら!行った行った!」
再び車内に戻されて、小さくなっていく五条悟の背中をただ見つめることしかできなかった。
お願いだから…どうか、無事に帰ってきて。
でも、私の記憶の中で見た五条悟はこれが最後だった。
……………
………
…
『………ん。』
あれ…私、いつの間に眠っていたんだろう。
もう外はすっかり暗い。
とりあえず、体を起こして………
『…ん?』
なんだか、体が重たい。
それに…なんか、周りの雰囲気が………
「起きた?」
『え……山本、さん…?』
しゃがんで、私と目線を合わせるようにして山本さんはそこにいた。
…なんで、山本さんが……待って、じゃあここは一体どこなの…?
そして、やっと起き上がった私は自分自身の姿を見て驚愕した。
「着慣れないよね。僕も同じさ。
着物…しかも、こんなにしっかりしたのなんて着たことないから。」
『待って…どういうつもり?ここは一体どこなんですか?』
「……君が育った場所、
加茂家さ。」
1862人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
きのこ姫(プロフ) - 禪院が禅院になってますよ〜 (3月8日 10時) (レス) @page6 id: 5521fd53c5 (このIDを非表示/違反報告)
園実(プロフ) - 言葉の使い方がおかしい所が多すぎて… (2022年2月14日 6時) (レス) @page18 id: 583543dbeb (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - ayastさん» ありがとうございます…!そう言っていただけて本当に本当に嬉しいです…(涙)この作品を見つけてくださり心より感謝しています^_^ (2022年2月12日 21時) (レス) id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
ayast(プロフ) - 連載お疲れ様でした!!お話大好きでした! (2022年2月9日 23時) (レス) @page35 id: af36fdec29 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - はなさん» わわわ…!本当ですね!教えていただきありがとうございます🙇🏻♀️ やっぱリップ、、じわじわきます…www (2022年2月5日 22時) (レス) @page25 id: 960672bf5f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ちゃっぱ195 | 作成日時:2022年1月20日 21時