ある日、私にセコムができた 2【五条悟】［完］

46話 ページ2

「"大人気モデルであるAさんが所属する事務所が昨日、Aさんの当面活動休止を発表しました。休止期間は未定であるということです。

Aさんの活動休止に対するご本人のコメントは現時点においては発表されていません。

また、現在放送中のドラマはすでに最終話まで撮り終えており……"」







ﾋﾟｯ




『……はぁ。』





まさか…こんなことになるなんて。



部屋に取り付けてあるテレビニュースは、自分のことで持ちきりだった。




SNSは見ないようにしている…どうなっているかはもうわかってるから。




でも、私は思ったより傷ついていないのがわかる。



それはきっと………






「Aー！アイス食べよ〜！」



『……ノックしてくださいよ。』


「アイスのように冷たいねっ！
そんなとこもいいと思うよ！」



『……っはぁぁ。』






多分…というより、十中八九この目隠しのせい…いや、おかげというべきか。




正直、全部の記憶が戻ったかと言われたらそうではない。



それに、昔の記憶を思い出してこそわかる、この男の変わりようにも着いていけていない。



まあ…もうこっちで随分と慣れてしまったから、別にいいんだけど。






買ってきてくれたであろうアイスを一口食べる。


……美味しい。





「休止中に激太りして、復帰後に世間を驚かせるっていうサプライズはどう？」


『すんごく面白そー。』


「もっと心込めて言えよ。」


『デリカシーの欠片もねぇな馬鹿目隠しめ。』


「そうじゃない。」





五条悟は私を目隠し越しに多分ジトーっとした目で見ると、最後の一口をパクッと放り込んで私の頬へ手を伸ばした。



ｽﾙｯ…と撫でられてくすぐったい。






「いつもの調子に戻ってよかった。」


『ｯ…。』


「でも、やっぱりもう一回"悟くん"って呼んでほしいなぁ♡」


『断る。』


「昔の君はもっと素直で可愛げがあったのに、どうやったら180度変わっちゃうわけ？」




五条悟はそのままふにっと私の頬を優しく摘む。


うっ…1.5キロ太ったのがバレるからやめてくれ。





でも…そっか。




『………この業界に入れば色々あるんですよ。

それともあれですか？昔の"素直で可愛げのある"私の方がよかったですか？

それはどうもすいませんね。』



「え、怒ってんの？」


『怒ってませんっ。』


「嘘おっしゃい。」





…だって、なんかムカつくじゃん。


昔の方が良かったって言われてるみたい。

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