32話 ページ33
聞き覚えのある声に、振り返るより先に鳥肌が立つ。
いや…そんなわけない。
でも負の連鎖って本当にあるから、これもきっと現実。
ゆっくりと顔を後ろに向ける。
「久しぶり、だね…?」
華奢な体、色白で透明感のある肌に、艶のある長い黒髪。
ぷっくりとした唇は絵に描いたような綺麗な形をしていて、大きな瞳が私を捕らえる。
『……どうしてここに?』
「あ、えっ…とね!
お父さんのお仕事が東京に異動になって、埼玉に残ることもできたんだけど、せっかくだし…って。えへへ。」
『そ、そうなんだ〜。』
さっきから心臓がバクバクと激しく動く。
嫌でも蘇る記憶に息が詰まりそうで、何も考えられなくなる。
私はあなたに聞きたい。
___本当に、それだけの理由?
「…あ!いけない!
もう行かないと!」
『じゃあね…。』
「うん!またね!」
走って行く姿が消えた瞬間、急に足に力が入らなくなった。
動きたいのに動けない…あぁ、これが俗に言うトラウマってやつなのか。
きっかけが些細なことでも、歯車が噛み合わなくなっていくうちに、全てがおかしな方向にいく。
私、大丈夫だよね………?
『あ……震え、止まんな……』
「…………A?」
その声の方を向いた。
なんで……ここに……
「何があった?立てるか?」
『伏、黒くん……
あ、嫌だ……離れてッ…』
「離れねぇよ。」
『ッ…!
離れて行ったくせによく言うよ…!』
思い切り突き放した。
伏黒くんが悪くないのはわかってる。
でも…じゃあこの私の気持ちは、どこにぶつけたらよかったの?
急に足に力が入って逃げようとすると、後ろから腕を引かれてそのまま抱きしめられる。
「逃げんな!」
『やだ…もうあの時の記憶から逃げたいの…ッ』
「急に何があったんだよ!
俺のせいか?それとも……」
「……え、何やってんの?」
その瞬間、体が凍ったように動けなくなった。
その声は随分と聞き慣れた私の大好きな声。
「修羅場?」
『悠、仁く……』
その姿を見ただけで、目から熱いものが込み上げてきた。
その後は何が起こったあまりよく覚えていない。
ただ、悠仁くんの目が見開いたかと思えば、私は悠仁くんの腕の中に収まっていた。
「伏黒、お前何した?」
「虎杖に関係ないだろ。」
「だとしても、これは無視できねぇわ。」
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美悠 - ちゃっぱさん» じゃあ洪水のように泣きますねw(え?)続編おめでとうございます!!! (2022年3月17日 20時) (レス) id: 4ccee94cf3 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - 美悠さん» 大丈夫です。その涙、受け止める覚悟は済んでます。地中海の底までサヨナラしたいですよねっ♡() (2022年3月17日 19時) (レス) @page50 id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
美悠 - 読んでて泣きそう…どっちもいい子すぎる…とりあえず紗里ちゃんは沈めてきます…☆(野蛮) (2022年3月14日 23時) (レス) @page48 id: 4ccee94cf3 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - 美悠さん» 優等生と思わせておいてからの、その見た目に反してってやつですよね…あぁ、好きぃ (2022年3月14日 1時) (レス) @page48 id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
美悠 - ちゃっぱさん» 恵ちゃんは美形でクールですけど、実は元ヤンなところ凄くポイント高いんですよ笑 (2022年3月11日 21時) (レス) @page46 id: 4ccee94cf3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃっぱ195 | 作成日時:2021年12月26日 0時