16話 ページ17
「………ごめん。本当にごめん。」
『暑いよ……。』
悠仁くんが私を後ろから抱きしめて、かれこれ30分は経ったんじゃないだろうか。
というのも、病院に着くなり診察してもらえば骨にヒビが入っていたみたいで、私の左腕にはギプスが取り付けられた。
それからというものの悠仁くんは顔を真っ青にして、さっきからずっとこの調子だ。
『本当に大丈夫だよ…?
すぐ治るって言われたし。』
「どっからどう見ても大丈夫じゃないって…。」
なんとか説得して、今は2人で帰ってきたところなんだけど…さて、どうしたものか。
多分、自分が許せないんだと思う。
"俺が巻き込んだから" "俺のせいで"
さっきからこればっかりぶつぶつ言ってる。
でも、私は別に悠仁くんのせいだと思っていない。
巻き込まれたとも思わない。
最初に悠仁くんを拾ったのは私なんだから。
『……わかった。
じゃあ、今日の夜ご飯めっっちゃ美味しいもの作って!』
「え……?」
間抜けな声を出して私から離れると、「でも…」なんてまだ何か言いたそうにするから、
『あー、腕使えなくてしばらく不自由しそうだから、家事全般してくれたら嬉しいなぁ。』
なんて言えば、「…やる!すぐやります!」なんて言いながら家の中をバタバタし始めて思わず笑ってしまった。
まあ、家事全般してほしいっていうのは冗談だからと私もやらうとするものならば、
「ダメです。君は大人しく座ってて。」
ってリビングにあるソファに連れ戻された。
かなり責任感が強いらしい。
『よく動くなぁ…』
悠仁くんの様子を見ていると、急に疲労が押し寄せてきて段々と睡魔に襲われる。
そのまま遠くなっていく意識にゆっくりと身を任せた。
"私、将来はお父さんみたいな人と結婚したーい!"
"あはは、なんでだい?"
"だって、優しくて力持ちでカッコいいから!"
"じゃあ、Aが「この人じゃないとダメだ!」
っていう子と出会えたら、お父さんにも紹介してくれるかい?"
"うん!約束!"
『…………約、束…』
「A〜、ご飯出来たよ。」
その声に、重たい瞼を開けると明るい光が差し込んできて目が眩む。
「気持ちよさそうに寝てたから、起こすの躊躇った。」なんて悠仁くんは笑う。
その笑顔が、脳裏に焼き付いたお父さんの笑顔と重なって、胸をギュッと掴まれる感覚がした。
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美悠 - ちゃっぱさん» じゃあ洪水のように泣きますねw(え?)続編おめでとうございます!!! (2022年3月17日 20時) (レス) id: 4ccee94cf3 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - 美悠さん» 大丈夫です。その涙、受け止める覚悟は済んでます。地中海の底までサヨナラしたいですよねっ♡() (2022年3月17日 19時) (レス) @page50 id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
美悠 - 読んでて泣きそう…どっちもいい子すぎる…とりあえず紗里ちゃんは沈めてきます…☆(野蛮) (2022年3月14日 23時) (レス) @page48 id: 4ccee94cf3 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - 美悠さん» 優等生と思わせておいてからの、その見た目に反してってやつですよね…あぁ、好きぃ (2022年3月14日 1時) (レス) @page48 id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
美悠 - ちゃっぱさん» 恵ちゃんは美形でクールですけど、実は元ヤンなところ凄くポイント高いんですよ笑 (2022年3月11日 21時) (レス) @page46 id: 4ccee94cf3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃっぱ195 | 作成日時:2021年12月26日 0時