43話 ページ44
「くだらねぇことすんな。」
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「なぁ、聞いたかぁ?
コイツの父ちゃん女と蒸発しちまったらしいぜ〜!」
……違うもん。
「可哀想になぁ!自分だけ置いてかれてぇ〜」
…可哀想なんて思ったことない。
「俺らが慰めてあげよっか?
ぎゃははは!」
…要らない、うるさい。
なんでこんなにガキなやつらが同じ歳なんだろうか。
中学生なりに、嫌悪と憎悪を抱いて睨み返せば「文句あんのか?」と頭を鷲掴みにされるし。
文句なんて…ない。
言い返してどうにかなるような人達じゃないし…
「黙ってねぇでなんとか言ってみろよなぁ!捨て猫ちゃん?」
「ネーミングセンス良すぎだろ!アハハハ!」
「おい。」
記憶の中のその声は、酷く低くて、威圧的な声色。
ピタリと動きを止めたそいつらがその声の主を見る。
私もそちらを目だけで見た。
覚えてる。
何も考えていないような顔をしながら、その背後を渦巻く圧倒的なオーラを。
目の前のそいつらも、一目見ただけで一瞬にして緊張が走ったのがわかったくらいに。
「くだらねぇことすんな。」
「な、何だよ伏黒…ッ!お前には関係ねぇだろ!」
そう、彼の名前は伏黒恵。
最近じゃかなり噂になっている、いわば伝説の不良ってやつだった。
…ぱっと見そんな風には見えないなぁ。
「じゃあ、お前らにも関係ねぇよな。
人様の家庭事情なんてよ。」
「あ…そ、れは……」
「3秒待ってやる。
今すぐ失せろ。」
これが、彼と初めて出会った日。
駆けていく背中を見つめていると、「おい。」と声をかけられた。
今度はしっかり私に向けて。
『あ…ありがとう、ございまし…』
「言い返せばいいだろ。
なんでずっと黙ってた。」
その声は威圧的だったけど、純粋に意図を知りたがっているようにも見えた。
だから、不思議と彼を怖いとは一度も思わなかった。
『変なデマを信じてるような人達に弁解して回るほど、暇じゃないよ。』
「そういうことを言ってんじゃねぇ。
いいのかよそれで。
お前、ナメられたままになるぞ。」
『……?
何か問題ある?』
その時の面食らった伏黒くんの表情は、多分一生忘れられないと思う。
不機嫌そうに頭をガシガシとすると、
「お前、変なやつだな。」
と呆れられた。
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美悠 - ちゃっぱさん» じゃあ洪水のように泣きますねw(え?)続編おめでとうございます!!! (2022年3月17日 20時) (レス) id: 4ccee94cf3 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - 美悠さん» 大丈夫です。その涙、受け止める覚悟は済んでます。地中海の底までサヨナラしたいですよねっ♡() (2022年3月17日 19時) (レス) @page50 id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
美悠 - 読んでて泣きそう…どっちもいい子すぎる…とりあえず紗里ちゃんは沈めてきます…☆(野蛮) (2022年3月14日 23時) (レス) @page48 id: 4ccee94cf3 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - 美悠さん» 優等生と思わせておいてからの、その見た目に反してってやつですよね…あぁ、好きぃ (2022年3月14日 1時) (レス) @page48 id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
美悠 - ちゃっぱさん» 恵ちゃんは美形でクールですけど、実は元ヤンなところ凄くポイント高いんですよ笑 (2022年3月11日 21時) (レス) @page46 id: 4ccee94cf3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃっぱ195 | 作成日時:2021年12月26日 0時