23話 ページ24
『……大丈夫、ですか?』
その言葉にボーッとしていた俺は声のした方を向いた。
…いや、なんでまた俺はこの公園に来ちまったんだ。
それでなんでまたコイツもいるんだよ。
「どこをどー見て言ってんだよ。」
『悲しそうな表情をしていたような気がしたので……違ってたらごめんなさい。』
俺から言わせてみればお前はずっと悲しそうな顔してるけどな。
髪長ぇし、下向いてっからわかんねぇけど多分。
『………気晴らしになるなら、適当に愚痴っちゃってください。』
「は?」
『この前、見ず知らずの私の話を聞いてくれたので…。
私と似ているような感じがするんです。
周りの人に言わないなら、私に全部ぶつけて大丈夫ですから。』
そんなこと言っている間にも、コイツの周りには相変わらず呪霊がうじゃうじゃと集まって来てるっていうのに、自分のことなんてお構いなしかよ。
「変に律儀なやつだな。」
『余計なお世話だったらすみませ……』
「ずっと、考えてた。
俺っていう存在意義を。
…で、わかんなくなってきた。」
『…!』
こんなこと話すつもりなかった。
いつだって、俺は強いからというプライドで弱い部分を隠すのが当たり前になっていた。
なのに…この時はただスラスラと言葉が出て止まらなかった。
高専以外のやつに弱音を吐いたのは初めてだった。
『そんな悲しいこと言わないでください。
あなたは見ず知らずの私の話を否定もせずただ静かに聞いてくれた、優しい人です。』
「………俺が、優しい?お前大丈夫か?」
『何を抱えてそんなことを言っているのか、あなたが話さない限り私は知る術もありません。
でも……私の存在を否定しなかったように、私があなたを否定することも絶対にない。
もしそれでも…自分の存在意義がわからないなら、
私があなたの存在意義になります…ッ。』
徐々に、自信なさげに小さくなっていく声だったけど、俺にはしっかり聞こえた。
ドクンッ と心臓が脈打ったのがわかった。
「…お前、それどういう意味で言ってんだ。」
『え、あ…その、違うくて!これはその…ッ』
「臆病で暗いやつって思ってたけど、案外言うやつだなァ?お前。」
『か、帰ります!変なこと言ってごめんなさい!』
「あ、おい!待て!」
慌てて帰ろうとするそいつを捕まえた時、振り向いた彼女の顔が初めて見えた。
俺の心臓がまたドクンと脈打った。
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ちゃっぱ(プロフ) - きのこさん» ありがとうございます…!頑張ります!🔥 (2022年1月20日 20時) (レス) id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - 更新楽しみにしております。ファイトです。!(*'▽') (2022年1月20日 1時) (レス) @page44 id: 745e8e7bf1 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - れいなさん» この作品に関しては自分もよくわからなくなる時があるくらいなぜ構造が難しいんですよね…(え?)キスシーンドキドキしてくださいました…?!あのプルプルの唇にぜひ蝕まれた…(黙れ)私も大好きなので定期で狼化(?)させてますこれからもします。ありがとうございます^_^ (2022年1月14日 23時) (レス) id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
れいな - どの作品も奥が深くて「早く早く!続きどーなんの?!」ってドキドキしてます!一番ドキドキした所は、……キスシーンですよね?!あーゆー呪術キャラが狼になるシーンホントに大好きです!個人的に山本さん怖いですねぇ…。リアルにいそう…。更新頑張ってください! (2022年1月11日 15時) (レス) id: 26dbc1a5ab (このIDを非表示/違反報告)
れいな - れいなです!「雨の日に虎を拾った」の作品から来ました!ちゃっぱ様の作品がどれも素晴らしいです!個人的に呪術キャラがアタシ好みですしww五条先生の作品の中でトップレベルに好きな作品です!こんな素敵な作品達を作れるちゃっぱ様はどうなってるんですか?!ww (2022年1月11日 15時) (レス) id: 26dbc1a5ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃっぱ195 | 作成日時:2021年8月26日 18時