6話 ページ7
『特別……それって、どういう…』
「あ、ちょーっと待ってね。」
五条悟はそう言うと、グッと私を体ごと引き寄せた後にジーッと私の背後を見つめていた。
その間、わずか3秒とちょっと。
五条悟の胸に顔を押し付けられて、またあの香りが漂って脳が痺れる。
なんだこの匂い…思い出せ、思い出せ私ー…!
あともう少しで出てきそうなところでパッと体を離された。
「君さぁ、ほんと厄介な子だねぇ。」
『寄ってくる呪霊が全部イケメンだったらいいのに。』
「え、何それ。気持ち悪ッ。」
『冗談ですよ。』
「この業界にいたらイケメンなんてわんさかいるでしょーに。」と間違いないことを言われた。
そりゃ普通に暮らしているよりは…。
『………あなた、モテるでしょ。』
「え、なんで?」
『顔がいいから。』
五条悟はいつの間に目隠しを付け直したのか、また貼り付けたような笑みで「山の数ほど経験してきたよ。」なんて言いやがる。
やっぱりクズだ…!
自分が男の経験がほとんどないからという悔しさもあって、『…んなに面がいいなら女の子捕まえに行ってろ!!』なんて負け犬の遠吠えをして楽屋を出た。
「嘘に決まってんだろ。純粋だなぁ。」
そんなことを五条悟が言っていたなんて、当然知る由もない。
.
仕事中もずっとイライラが取れなくて、自分ってこんなにも男に飢えていたのかってショックを受けつつもなんとかスケジュールを終えた。
「ほんとごめん、ちょっとだけ教え子達のところに行ってくるね。」
そう言って五条悟は一足先にタクシーに乗って行ってしまった。
そもそも教師だったのか。
あれが先生って…大丈夫だろうか。
それにしても、彼については知らないことが多すぎる。
今日は現場が近かったことと、タクシーがなかなか捕まらないから歩いて帰ることにした。
夜の10時前。
生暖かい風が頬に触れた。
湿気が多い、どんよりした空気。
『……気味悪い。』
早く帰って、映画見ながら半身浴でもして寝よう。
そう決めて歩く足を早めた。
あと少し、そこの角を曲がれば………
クンッ
『え、………』
後ろから足を掴まれた感覚に、徐に後ろを向くけど特に何もない。
……嫌だ。
わかる、見えなくても"いる"というのが。
こんなにも身近に感じたことがなくて、私は恐怖で動けなくなっていた。
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ちゃっぱ(プロフ) - きのこさん» ありがとうございます…!頑張ります!🔥 (2022年1月20日 20時) (レス) id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - 更新楽しみにしております。ファイトです。!(*'▽') (2022年1月20日 1時) (レス) @page44 id: 745e8e7bf1 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぱ(プロフ) - れいなさん» この作品に関しては自分もよくわからなくなる時があるくらいなぜ構造が難しいんですよね…(え?)キスシーンドキドキしてくださいました…?!あのプルプルの唇にぜひ蝕まれた…(黙れ)私も大好きなので定期で狼化(?)させてますこれからもします。ありがとうございます^_^ (2022年1月14日 23時) (レス) id: 12eaed4cf4 (このIDを非表示/違反報告)
れいな - どの作品も奥が深くて「早く早く!続きどーなんの?!」ってドキドキしてます!一番ドキドキした所は、……キスシーンですよね?!あーゆー呪術キャラが狼になるシーンホントに大好きです!個人的に山本さん怖いですねぇ…。リアルにいそう…。更新頑張ってください! (2022年1月11日 15時) (レス) id: 26dbc1a5ab (このIDを非表示/違反報告)
れいな - れいなです!「雨の日に虎を拾った」の作品から来ました!ちゃっぱ様の作品がどれも素晴らしいです!個人的に呪術キャラがアタシ好みですしww五条先生の作品の中でトップレベルに好きな作品です!こんな素敵な作品達を作れるちゃっぱ様はどうなってるんですか?!ww (2022年1月11日 15時) (レス) id: 26dbc1a5ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃっぱ195 | 作成日時:2021年8月26日 18時