世界の終わり、君の隣【A3!】 (ページ23)

今日:13 hit、昨日:4 hit、合計:21,082 hit

▽ ページ23

.

いつもの帰りの通りにはMANKAIカンパニーがあって、学校が終わった後は必ず立ち寄っていた。
どんなに疲れていても、忙しくても、次の公演の予定を確かめるのが楽しくて仕方がなくて、毎日毎日通っていた。
通って行くうちに、団員さんたちと顔見知りになっていった。
いつもは怒鳴ってばかりなのにふとしたときに優しさが出る、そんな彼に一目惚れした。

通い詰めるうちに左京さんとも話すようになり、そのたびに彼に惹かれていった。

もうすぐこの世が終わる、終わりを告げてしまう。

いつか、左京さんの想い人について話したときがあった。

「左京さんって、想い人、いるんですか？」

「…ああ。…そいつは、昔からほっとけないやつでな…」

私の中で、何かが壊れた気がした。
高いところから落ちた気がした。

それは多分、私の心かもしれない。

顔に貼り付けた微妙な愛想笑いで、なんとか自分の気持ちを誤魔化した。

左京さんが好きなのは、監督。カンパニーの、監督。私じゃない。そんなの、わかってる。

空から変な音が聞こえてくる。

…ああ、もう終わってしまうのね。

最後に、一つだけ。

最後の最後まで、あなたを愛してもいいですか？

痛いほど愛おしいこの気持ちごと、愛してもいいですか？

目の前に“ 終わり ”が迫ってくる。

嗚呼＿

さようなら、愛しい恋。

.

end.