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別れてから今まで押し込めていた気持ちが溢れ出す。
こんなにも万里に惚れていたのだと気付くにはあまりにも遅すぎた。
空が段々と白くなっていく。
終わりが近づく。
私の中の万里を消そうとするように吹いた潮風に弄ばれる髪を耳に掛けた時、
「A!」
大好きな声が聞こえた。
終わりを迎えようとしている地球に立つ私の視界は少し白く霞み、どこか遠くから轟音まで聞こえてくる。
だけど私の鼓膜を揺らした声は、背中を包み込む温度は、息が止まりそうなくらいキツく回された腕は、間違えようもない万里のものだった。
「ばん、り、どうして・・・」
驚きと嬉しさが相まって、出てきた言葉は不格好だった。
「お前が言ったんだろ」
そうだ。
あの時の続きは、
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「だって、目の前でAを亡くしたくない」
あまりにも辛そうな表情で言うから、本心なんだと思った。
私が万里の前から姿を消す時は、万里だって私の前から姿を消すのに。
だから私は、
「それでも最後は万里と一緒に居たい」
そう答えた。
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世界を終わらせる白が、私達を包み込んだ。
やっぱり万里は、私に少し甘い。
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作者名:みん x他3人 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/awoike_3th
作成日時:2018年6月3日 20時