打上げ花火の鳴る頃に 【三好一成】

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三好一成


美大では常に一目置かれる程成績が良く、顔も整っていて友達も多くて。
チャラい割に意外と真面目な部分もあって 細かい所まで気を配ってくれて、当然ながらヤツはモテる。ものすごく。







｢花火始まったらさ、2人で抜け出しちゃお？｣



『え、抜け出す？』





彼からの好意には薄々気がついていた


…が、それはナンパ常習犯である三好の、いつもの冗談のようなものだと思っていた



実際そうなのかもしれないけど、なんだか今のは少し期待した

耳元で囁かれたのだ。
2人で、というワードに含まれた何かを感じてしまう




｢俺、Aに渡したい物持ってきたんだ〜｣



『ん、分かった
そうだなあ、適当に連れ出してよ』



なんだそういう事か、と期待した数秒前の私を心の中で蹴り飛ばして縁日を歩く


渡したい物ってなんだろう、という疑問が残ったけどそれも直に分かること。



今は手に持ったりんご飴を落とさずに食べ切ることだけ、考えることにする




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