曇天の4兄弟!!弐

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「……Aが」

ぼそりと呟かれた言葉の真意が分からない

また、重い沈黙が続く

その後に続くものは無かった

もやもやとしたものが募る

どうしてか、こんな空気を潰してやりたくなった

重苦しくて、辛いばかりの、この空気を…

天火の言葉を待つ前に、勝手に口が開いた

『なぁ…、そんなに俺は弱そうかい？』

「……」

『そりゃ、お前よりは弱いよ』

答えない天火にイライラとした、普段なら鬱陶しいとさえ感じて一蹴していた感情が漏れる

『天火より4つも兄貴のくせしてさぁ、頼りないうえに遊んでばっかだしな。良いとこ１つもねぇもんなぁ？』

嫉妬か、羨望か、或いはその両方か…

黒いもやもやが更に濃くなる


何でもいいから何か云えよ

本当に愛想つかされてるみてぇじゃねぇかっ


口を真一文字に結んで尚も開かない天火に焦れる

なんで俺こんなに怒ってんだろ…？

怒ってるのかどうかも分からないが、兎に角気持ち悪かった

どうしようもなく

『訳わかんねぇっ!!俺がお前に迷惑掛けたかよ？何でみすみすお前に…弟に助けてもらわなきゃなんねぇんだよっ!!』

近くにあった木を殴りつける

ドガッ、と鈍い音がした

天火は俺を見詰めたままだ


―嗚呼、俺格好悪い


なんでこんなに苛ついてんの

なんでこんなに駄目な俺なの

なんでこんなに…弱いんだよ…

『お前よりは…弱い、頼りない俺だけど…』

自分で自分が卑しい奴に思えてきて、云い逃げしてしまった

勝手に足が動いてしまったんだから、仕方ない

それでも俺にとっては好都合だった

これ以上、惨めになりたくないから

頼りない俺だけど…

お前の事ぐらい護れる？

心配すんなよ？

後に続く言葉が見付からない

じんじんとわ痛みを主張するのが、手なのか、はたまた心なのか、それさえも区別がつかなかった

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