55話【表情】 ページ5
そして現在。
俺たちは、海辺を歩いている。
あれから時間が経ち、もう夕日が出る時間にまでなった。
時間が経つのは早いなぁ、なんて考える。
藍「......少し、座りましょっか、」
近くにあったベンチに腰を下ろす。
恥ずかしさのせいか、あまり会話が弾まない。
次はなんの話をしようか、と悩んでいると隣からシャッター音が聞こえた。
藍「............え、」
振り向くと、スマホを片手に笑っているAさんがいた。
かわええ、
反則でしょ、その表情
というより、俺今写真撮られた？
A「っふは、藍くん、笑、間抜けな顔になってるよ、」
藍「..............。」
いや
かわよ、
マジ、その表情はアウトだって、
今すぐにでも、お持ち帰りしたいくらい。
ただ、本人は自覚なしに笑っている。
藍「........こんの、鈍感先輩が、」
先輩が
笑うたびに
俺のこころは
どくん、
と、はねる。
持ってかれそうな
理性を
なんとか
引き止める。
藍「俺の我慢、いつまで続くかなぁ、」
そんな言葉は
先輩の耳に入ることなく
風にのって
消えていった。
ーーーーー
「表情」とかいて、「カオ」と読んでほしいと思っている作者です。
ぜひそう読んでください！笑
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作者名：きょれっくす | 作成日時：2023年11月22日 23時
