丸山さんの婚約者。 (ページ9)

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大倉side
「決まっとるやろ、Aちゃんを大事にするねん」

丸が堂々と言い放つ。
それがなんだか面白くてつい吹き出してしまった。

「おい、なんで笑うねん大倉」

「いや、丸変わったなと思って」

「どう言う事や」
丸は笑いながらそう言う。

だってあの丸やで？
丸は俺以外の人間を信用してへんかった…いや、俺すらも信用してるかどうか怪しい。
いつもヘラヘラしながら笑顔の仮面を被って明るく振る舞って本物の感情を一切出さへん丸がこの2日間で素の表情が出てるもん。

「丸の素の顔って面白いし」

「訳分からんわ…」

「俺も訳分からんかったわ」

俺の一言で丸が吹き出し、2人の笑い声が部屋に響いた。

こんな時間もAちゃんのおかげかも知れんな。

さ、鈴華はどーしよ。

「鈴華と永里家はどうする？」

俺は丸に問いかけた。

「んー。出来れば早急に潰したいねんけど立場上永里家は今すぐ出来んねんなぁ～。だから鈴華が先。」

丸がニヤリと笑う。

丸がこの笑い方をする時はだいたい仕事前だ。

はよ安田も解放してあげなあかんしな。

俺は永里鈴華の写真を見た。
折れそうなほど細くて綺麗な顔をしたAさんと真逆でよく肥えていて性格の悪さが顔に滲み出ている。

気持ち悪。

そう思って俺は丸の部屋を出た。