こんなはずないと思ってた(青) (ページ3)

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私は、そこにいる男性が当然のように返した…が、ある違和感に気付いた。

こんな声の人、いなかった。

「誰ですか」

私は声がした横を向いた。

そこには、関西弁、マスク、色付き丸眼鏡、黒いキャップを後ろに被ってちょっと長く、先っぽだけ緑色の髪を束ねたかなり怪しい男がいた。

「うわっ！」

「そんなびっくりする事ないやん～」

男はまた笑いながらそう言った。

そして、私はこの男の髪型や目に見覚えがあった。

まさか…

私の声に気づいた高木くんが

「どうしたの？」

と心配してきた。

いや、心配は良いから！なんであなたがこんなところにいるの！

すると、高木くんは私の隣にいる謎の男に気付いたらしい。

「あ、安田さんじゃないですかー」

高木くんの顔が一気に明るくなった。

安田は安田でもやっぱりあの…

彼はマスクをずらした。

「遅れてすみません、関ジャニ∞の安田章大って言います～！」

「きゃー！」

女性陣から歓声があがる。

私はただ章ちゃ…安田さんを見つめていた。

「Aは知らないと思うけどっ！関ジャニ∞って言ったら国民的って言って良いほどすごいアイドルなんだよ！」

みちかが耳打ちしてくる。

そんなん知ってるよ！知り尽くしてるよ！

そっか、みちかは私が重度のエイターだって知らないのか。

私が呆然としていると、安田さんはいきなり手を握ってきて、笑顔で

「自分、名前は？」

と聞いてきた。

小柄なのに結構ゴツゴツした手でやっぱり男なんだなと実感。
でも、こんな男らしい見た目でも笑顔が乙女のように可愛く、不覚にもキュンとする。
推し以外にキュンとした事のない私が！
やっぱ生で見るってすごい！
推しを生で見たらもっとすごいんだろなー…

って、そうじゃない。名前言わな。

「三宅A…です…」

意識したつもりはないのに自然と声が震える。

「Aちゃんって呼ぶわ！僕の事は章大でもやすでもなんでも良いで！」

「あの、安田さん…」

「結局安田さんのまま…！？」

「こんな事してて良いんですか？」

私は安田さんに握られた手に目線を落とす。

「ん？ええやろ。僕女友達作りに来たし！」

「…はあ…」

普通異性の友達にそんな事せんやろっ！
と心の中でツッコミを入れながら苦笑いで対応する。

「それにみんなの方見てみ」

安田さんにそう促されみんなの方を見てみると

「僕が来た頃にはだいぶ仕上がっとってんなぁ」

それぞれがかなりいちゃついていた。

受付の舟山さんを除いて。