Episode7 ページ7
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彼女と接点がなくなった。隣のクラスってだけの他人になってしまった。
あの日から、彼女とは言葉を交わしていない。
あの一週間は幻想だったのかもしれない、とあのコンビニの前を通った時、肉まんの匂いが香る度に思い返していた。
廊下ですれ違うことはあったが、目を合わせることはない。恋ごころというものは実はすぐに使いものにならなくなるらしい。
そのうち、彼女に告白した男の噂をきいた。彼女がどう決断を下したかは知らない。
しかし、突然それはやってきた。
卒業式、同級生たちが写真を撮ったり、アルバムに寄せ書きをしたりしている中、俺はひとり図書館に向かっていた。
「あかあし」
階段で引き止められ、振り向くと、泣き腫らしたみたいな目が俺を見つめていた。数ヶ月ぶりに交わされる視線に、俺は愛しさを思い出した、思い出してしまった。
「Aちゃん、どうしたの」
俺を追いかけてきたようだ。
「あのね、わたし」
彼女も俺をすきだったらいいのに、って何度も考えた。俺の中のすきという気持ちは、Aちゃんだけのものだった。
「わたし、赤葦の第二ボタンが欲しい」
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作者名:にんじん | 作成日時:2020年3月20日 14時