第百六十三話 ハッカーがコンタクト ページ34
「『心を盗む』って、バレてるよな、これ？」
「メジエドのことを知りたいってことも知ってるし、もしかして、近くにいる人物だったり？」
「チャットのログを辿られた可能性もあるわ」
「迂闊だったな…」
「でも、Aの意見もあながち間違いではないのかもしれない」
「ま、まじかよ！？」
「わからない、けどそんな気がするのよ」
他人のチャットログを第三者が見るだなんてことは、個人情報の侵害に値するのでチャットを運営する会社が厳しく取り締まっているはずだ。それなのにバレたということは、この『アリババ』という人物はハッキング能力を持っているのかもしれない。これはあくまで、Aの推察だが。
「…ハッキングの可能性があるね」
「てことは、こいつハッカー！？」
「ハイテクはワカラン！要するに、どういう事だ？」
「正体不明のハッカーがコンタクトしてきたのよ！」
「なるほど、よくわからん…」
「じゃあ、こいつがメジエドか？」
「それは違うかも。だってメジエドの情報を教える、望むなら片付けることもできるって言ってるんだよ？」
「罠かもしれないが？」
「あ〜たしかに…。『アリババ』の言葉を完全に信じちゃだめか…」
『アリババ』の言っていることが全て本当のことだったら、怪盗団にとっては棚からぼた餅、最高の状況だ。『アリババ』の言う改心させたい相手の改心が成功しさえすれば、メジエドをどうにかすることができるからだ。だが、たった一回の接触だけではこの人物を信用することはできない。
「もしかして、ただのイタズラ？」
「イタズラにしては妙に知り過ぎてる」
「正体がバレてるなら、私たち、捕まっちゃったりしない？」
「いや、通報したいならとっくにしてると思う」
「何らかの目的があるに違いない。現に取引を持ち掛けてきただろ？必ず向こうから連絡がくるさ」
「その連絡がいつ来るか分からない。もしものとき、すぐ動けるように今日は一緒にいたほうがいいわ」
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作者名：すみれ | 作成日時：2021年4月4日 2時
