第百三十三話 卒業記念日 ページ3
「うぜえんだよ、この成り金が！！」
「……へ？」
我慢をしていても、大人の言いなり通りに行動しても、私は私を見失っていくだけだった。でも、この汚い大人に指図されてようやく気が付いた。それじゃ意味ないんだ。私は私の思うままに行動しなきゃいけないんだ。
『戦う覚悟は出来ましたか……？』
誰の声か、すぐにわかった。
これは私の声だ。
戦う覚悟？そんなもの、とうに出来てるに決まってる！
「いいわ、来て！」
『それなら、速やかに契約に移りましょう』
その時、真を今まで経験したことがないほどの激しい頭痛が襲った。
真は苦しむが、それでも心の声は続く。
『我は汝、汝は我』
『せっかく見つけたあなたの正義。どうかもう、見失わないで』
「ああ“あっ！！」
痛さでどうにかなってしまいそう。
でも、わかる。今から私は変わるんだ。
『今日は偽りの自分からの卒業記念日です』
ずっとつけてきた心の仮面を剥がして、抗おう。私が私であるために。
「うっ、ああ“あああっ！！」
真のペルソナが現れた。
それは彼女の心の有り様と同じである。
「ペルソナか……！」
「いやアレ、バイクだろ？」
「伝わってくる、これが私！いけっ！」
真はペルソナを走らせ、前方にいるシャドウを薙ぎ倒した。
その様子にカネシロも焦りの汗をかく。
「……っ！ギャラ泥棒は処刑ですよっ！！」
何にも縛られずに自由に駆ける。
これが私のあるべき姿だ。
「もう絶対に弱音なんて吐かない。飛ばすだけ、飛ばすから！いいよね、ヨハンナっ！！」
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作者名：すみれ | 作成日時：2021年4月4日 2時
