第百四十九話 逃げるなら ページ19
「それは、斑目のシャドウが言っていた……」
「言え!誰なんだ!?」
「クク、やめとけって。ヤツの力はお前らの比じゃねえ。出くわさないよう、せいぜい気をつけることだ……それと嬢ちゃん」
「?」
「逃げるなら今だぞ……」
「えっ」
最後にリティにそう言って、金城のシャドウは現実の金城の元へと帰った。
言われた側のリティは意味がわからず混乱している。逃げるって、何から?
「考えるのは後だ!オタカラを奪え、時間がない!」
パレスの崩壊が始まった。
早く出ないと怪盗団もパレス崩壊の餌食になってしまう。
「どうせならあのでかいのを……ってえっ!」
「ニャふぅぅぅぅ!」
また始まってしまった。
モナのオタカラを見たら止まれなくなる癖。
「超キモチい〜!いいなーいいなー、ヒューマンっていいなー!キン、キン、キラキラやー!」
モナはそのテンションのまま、パンサーの頭に引っ付く。
いつものモナじゃありえない行動だ。
パンサーはそんなモナを顔から剥がして放り投げる。
その衝動でモナは車になった。
「生き物、投げんじゃねーよ!!!」
「そんなこと言ってる場合じゃないって!」
荷台を開いて、オタカラを積み込む。
これがなかなか重い。
「リティ、そこは俺らがやる。あとは任せろ!」
「ごめん…。ありがとう!!」
「おうよっ!」
全てのオタカラを積み込み終わり、クイーンの運転でモナカーが出発する。
これで一安心か、と思いきや。
「って道ねえし!!」
「「うわぁぁぁあ!!」」
その勢いのまま現実に戻ったから、Aたちは交差点近くで尻餅をついてしまった。これがかな〜り痛い。
「うぅ……ぜってえ割れた、尻……」
「杏、大丈夫か!?割れてないか?」
「割れてないっ!」
「割れてるでしょ?」
「もー、そうじゃなくて!だいたいいきなり飛び出すとか危ないじゃん!」
「まあ、お尻は痛かったけどみんな無事だね!!」
「いや、約一匹……」
交差点の真ん中でアタッシュケースに潰されている一匹の猫を見つけた。
確実に、うちのモルガナだ。
「アタッシュケース……。あれがモルガナの死因だろうな……」
「ちげえって!あれ、金城の……」
「オタカラか!」
「というか、信号赤!!」
52人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:すみれ | 作成日時:2021年4月4日 2時