古書店街 本探し2 ページ4
そう言って差し出したのは『絵本』
流石の吾郎も動揺を隠しきれなかった。僕は彼女に何歳だと思われてるんだ?と感じる。
「探偵ものって探してたら見つけたの。絵が可愛くて、内容も面白いよ!」
「探偵もの、か。ちょっとだけ興味が出たよ。少し貸して?」
「うん!」
吾郎はペラペラとページをめくって、やがて閉じた。
そしてAの方を向いていう。
「なかなか面白いね。特に値段が高いというわけでもないし、買ってみようかな」
「本当!?」
やった〜!と喜ぶ彼女を見る。本当のところは、活字でいっぱいの小説を読みたかったが、たまにはこれも悪くないだろうと思ってレジへと向かう。まあ、Aが子供のように喜ぶ様子が面白いので見たかったという理由がほとんどを占めているが。
「買ったよ。次は君の本でも探そうか。この辺に音楽関係に強い古書店があるんだ」
「ほ、ほんと!!連れてって〜」
「うん、いいよ」
この後、Aはいくつか音楽理論や音楽史に関する本を買って、二人は帰って行った。
家に着いた頃、Aから吾郎に電話を掛けた。
『もしもし、吾郎。今日はありがとう!色々な本が買えて楽しかったよ〜』
『それはよかった。君のススメで買った本も悪くないね。単純なトリックをここまで脚色して考える様子は実に面白い』
『ふふ、それって簡単ってことだよね?』
『まとめたらそうなるかな。君の買ったものはどう?かなり難しそうなものを買っていたけど』
『面白いよ!今の音楽を作るには昔にも目を向けて考えるのが大事って思ったし、昔の音楽からは得られるものが多いからね』
『へぇ、君は本当に音楽が好きなんだね。今日で君のことをまた少し知れた気がするよ』
『私もだよ。でも、もっと吾郎のこと知りたいから今度は私から誘うね!』
『うん。楽しみに待っているよ』
後日談
吾郎がAの勧めで買った『絵本』をSNSに載せて、「明智くんって絵本読むの!?」「意外〜」と少し話題になった。
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作者名:すみれ | 作成日時:2021年4月1日 23時