歪んだ世界であなたと自由を掴む2【ペルソナ5ロイヤル】

第七十一話　正真正銘のStart ページ29

｢諸君、ようこそ新しいアジトへ！｣

カバンから顔を出したモルガナはテンション高く言い、今の状況の説明を始める。

｢今回のターゲットはマダラメだ！見ただろ、あのパレス。前と同じなんてナメていたら痛い目を見るぜ｣

｢それにアン殿の貞操がかかっている！｣

それ、すごく重要。
何がなんでも、改心を成功させないと。

拳を握りしめて、心の中で熱く意気込む。

｢やることはカモシダのときと同じだ。まずはパレスで『潜入ルート』を確保｣

｢あ、ちょっと待って｣

手を挙げて話を止める。
みんなが不思議そうにこちらを見てくる。

｢その、パレスでのこととかよくわかんないから少し説明をお願いしてもいい？｣

｢そういえばナマエは新人だったな！馴染みすぎて気付かなかったぜ｣


ここは先輩が説明してやろうと得意げにモルガナが教えてくれる。


パレスでの最終目標は『オタカラ』を見つけ、主を改心させること。

そのオタカラというのが、その人が歪み始めた原因となるものらしい。

最初はオタカラは実体化していない。
形になってないということだ。

それを実体化させるために『予告状』を出す。
前に、｢色欲のクソ野郎｣と書いてあったものが学校の掲示板に貼られていたのも、鴨志田に予告する為だったそう。


そのオタカラが実体化し、それを盗むことでパレスの主は改心するという寸法だ。

ちなみに鴨志田のオタカラはオリンピックの金メダル。ずっと『過去の栄光』にしがみついていた結果、彼は歪んだ。


私は真剣な表情で考える。


斑目のオタカラ。
あの人をここまで歪ませた原因は、一体何だろう。

｢わかったか、ナマエ｣

｢うん、バッチリ！｣

｢はいはーい、質問！斑目って俺らのこと知らねえじゃん？なんで警戒されてたわけ？｣

竜司がそう質問する。
言われてみれば、あのパレスには警備員が結構いた。あれが警戒されてるってことだろう。
でも何で？

モルガナを見る。

｢だいぶ学習してるな、いいぞリュージ。きっと『誰も信じていない』んだろ。知らない相手は全員敵扱いなのさ｣

あの人にとっては、ほとんどの人が敵なのか。
……悲しい人。

｢今回の期限って個展が終わるまでなんだよね？ってことは6月5日だ｣

｢今回も『予告状』を出した後で『決行』だ。だから2つ戻って『6月2日』には潜入ルートを確定しないとな｣

｢時間そんなにないね｣

｢俺たちならやれるだろ！｣

｢ああ｣

今度こそ、正真正銘の『Mission Start』だ。

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