歪んだ世界であなたと自由を掴む2【ペルソナ5ロイヤル】

第七十話　迷いは吹っ切れる ページ28

｢一人の男の命を救うためにも｣

｢……どういうことだ？｣

｢今も一人だけ、斑目の所に残っている若者がいる。君と同い年くらいだったかな｣

喜多川くんを、救う。
そうするつもりだけど、あのとき彼は嫌がっていた。

私の中でもまだ少し迷いがある。
｢身勝手な正義だったとしても助けるべき｣って言ったのにね。

でも喜多川くんの本心はやはり……。

｢絵の才能があるばかりか、彼は身寄りがなくて斑目に恩義がある。斑目には格好のカモだ｣

｢喜多川、言いなりになるしかねえってことか！｣

｢まだ、斑目のところにいた頃にその彼に聞いたことがあるんだ。斑目と一緒にいて辛くないのかいってね｣

｢……彼、何て言いました？｣

｢『逃げられるものなら逃げ出したい』って｣


……やっと聞けた。
直接じゃないけど、それでいい。
喜多川くんの思い、ちゃんとわかった。

やっぱり私はあなたを助けたい。

｢逃げ出した私が言うのもなんだが、兄弟子の悲劇は繰り返したくない……！斑目の改心、検討していただけるよう、どうかよろしくお願いします｣

中野原さんは礼をとると去っていった。
彼の話を聞いた私たちの気持ちは同じだった。

｢マダラメの被害者から直接頼まれたんだ。マダラメを改心させるのにもう迷ってるヒマはなさそうだ｣

｢祐介を助けよう｣

蓮……。
私は大きく頷く。
絶対、絶対助ける。

｢斑目は弱いヤツらを食いモンにする正真正銘のクズだ！｣

｢これ以上……アイツのせいで辛い思いをする人を出さない！｣

｢迷いは吹っ切れたよ！｣


自然と全員の視線が蓮の方へ向く。
蓮は口角をあげて大胆不敵な笑顔で、

｢次のターゲットは斑目だ。みんな異論はないな？｣

｢｢もちろん、リーダー！｣｣


斑目一流斎。
これ以上あなたの好きにはさせない。
あなたのしたこと、怪盗団が許さない。

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