歪んだ世界であなたと自由を掴む2【ペルソナ5ロイヤル】

第五十五話　日本画の大家のウワサ ページ13

｢け、結局見れなかった……｣

｢しょうがねえだろ……。あの勢いはさすがにヤバい｣

｢うん……あ、そうだ。二人ともさっきはありがとね｣

私があの人波にもまれていたときに、二人は私の手を掴んでここまで引っ張ってくれたのだ。
あれがなかったら今頃まだ私は、あの中にいるだろう……

｢別にいいよ。それよりほらこれ、見てみろよ｣

竜司はそう言って自分のスマホを私たちに見せる。怪チャンの書き込みのページだ。そこに書いてあったのは。

｢なんで先帰んのっ!?｣

別行動だった杏がずんずんと足音がなりそうな勢いで帰ってきた。
ちょっとだけ怒ってる。

｢ちげえって、俺ら巻き込まれて……まあ、いいや。お前もこれ、見ろよ｣

さっきの怪チャンのページを杏にも見せる。
そこに書いてあったのは。

『日本画の大家が弟子の作品を盗作している。テレビは表の顔しか報じていない。アトリエのあばら家に住み込みさせている弟子の扱いは酷く、こき使うだけで絵など教えてもらえないし、それどころか人を人とも思わない仕打ちは飼い犬をしつけるかのようだ。』

｢最初に見たときは何とも思わなかったけど、『あばら家』で『斑目』だからな｣

｢盗作に続いて、虐待ってとこか｣

｢マジなら大スキャンダルだ｣


もしかして縦横無尽の作風というのも盗作をしていたから成し得ることができた……？
それに自分の意志を継ぐであろう存在の弟子に虐待だなんて。
これが本当なら竜司の言う通り、大変なことだろう。

｢喜多川くんが書き込んだのかな？だってまさに弟子でしょ？｣

｢さあ、匿名だから……｣

｢となると、メメントスで聞いた『マダラメ』が、あの『マダラメ』と同一人物かもしれねえ｣

｢あの先生がそんなこと……｣

私も杏と同じことを思う。

でも、ここに書いてることは確認しなければ。
本当か、嘘か、わからないけど。
ここで嘘と決めつけて苦しんでいる人を助けられない方が嫌だ。

｢お前はどう思う？A｣

｢怪しいって思った方がいいと思う｣

｢俺もAと同じ｣

蓮が真剣な表情で言う。
私たちの言葉を聞いて、杏は複雑そうな顔をする。

｢こいつがクロなら待ってましたの『大物』だろ？｣

｢まあ、そうだけど。ホントかな？｣

｢そういやモデルの話はどうなってんだ？｣

｢喜多川くんから連絡貰ってる。あと斑目先生のアトリエの住所も｣

｢住み込みつってたな、ちょうどいい。明日行ってみようぜ！放課後斑目ん家に行くぞ！｣

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