第百三十話 足は届く ページ49
「あの銀行さえどうにかなりゃなあ……」
竜司が口を滑らせてしまった。
会長にも聞こえてたようで「銀行…?」と不思議そうに呟いている。だがその時。モルガナは気がついた。
「銀行…?あ、そうか。銀行か!役立たずどころじゃねえ!カノジョ、大手柄かも知れねえ!」
「大手柄?どう言う意味…?」
モルガナの話はこうだ。
私たちは金城と接触したことによって金城の標的、つまり金城の銀行の客になったということ。今までの私たちは金城にとっての客としてみなされていなかったため、パレスが宙に浮いていた。でも客となった今なら、状況は変わっているはずだ。
「連れて行こう。こうなった責任は取ってもらわねば」
「あれだけ無茶して、体を張ったんだ。今や、彼女にも知る権利がある。着いてきてくれるな?」
「ついていくって、え……何処へ?」
「金城の心の世界です」
異世界に入って、生徒会長がまず一番に驚いたのは、
「狐!?」
「フォックスだ……」
「静かにしろって。シャドウたちに気付かれんだろ」
「化け猫!?」
「ふ、こういう生き物なんです」
「お前そのくだり毎回やんの!?」
「その声、秋瀬さんに坂本くん?? ここが、カネシロの心の世界…?」
「そう、カネシロの歪んだ欲望が具現化したもう一つの現実だ」
生徒会長に異世界についての重要事項を少しだけ説明した。
「そうか、『心を盗む』って認知を書き換えるってことかな? 理屈は何となくわかった」
生徒会長はやはりよく頭の回る人物だった。
普通に聞いても理解出来そうにないことをすらすらと理解していってる。
「じゃあ、この世界のどこかにATMになった私もいるっていうこと……?」
「かもな。とにかく『オタカラ』を盗れば、カネシロを改心させて自白させられる」
「……あの銀行に行きたいのよね?なら、行きましょう。私があの銀行の顧客になったんなら、ゲートはただひとつだから」
ゲートは一つ……?
会長は空に浮かぶ銀行へと近付く。
否、銀行が会長の元へと向かってきた。
「向こうから来やがった!」
「計算通り、だな」
……ねえ、金城。
私たち、あなたのところに足、届いたよ?
▽お知らせ▽ 続編が出来ました!→←第百二十九話 役に立ちたかった
55人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
すみれ(プロフ) - テイル@パピコ同盟さん» コメントありがとう〜〜!こちらこそ返信遅くてごめんね。更新頑張ります!これからもよろしくね! (2020年7月11日 16時) (レス) id: 28009c6402 (このIDを非表示/違反報告)
テイル@パピコ同盟(プロフ) - 続編おめでとう!最近話せてなくてごめん!頑張ってね!これからも応援するよ! (2020年7月11日 6時) (レス) id: f918ed1ff0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:すみれ | 作成日時:2020年7月10日 21時