第百二十話 悪鬼羅刹な人物 ページ39
「うかつなんだよ。自覚が無さすぎるんじゃないのか?竜司」
「なんで俺だけなんだよ?杏だって録音されていただろうが!」
「二人とも。言い合いしたって状況は変わらないよ」
「ああ、これは全員の責任だ」
……とは言ってもどうするか。
「今は素直に従っておくべきだ。痛恨のミスではあったが、致命傷ではない。取り戻すしかないだろう。それでいいよな、蓮」
「仕方がない」
「明日、屋上だったっけ?」
「祐介は外で待ってて。目立つといけないから」
……生徒会長は何を考えてこんな行動をしているのだろう。
怪盗団の正体を突き止めたって彼女に利益はないはずだ。それなのにどうしてこんなことをするのか。改心させたい相手とは誰なのか。それに『正義』を見せて欲しいだなんて、何でそんなことを言ったのか。色々謎だった。
__それも明日になったら、わかるかな。
怪盗団の面々はそれぞれ重い気持ちで帰路についたのであった。
「改心させて欲しい相手って誰なの?」
約束の時間、約束の場所で早速本題に入った。
「……あるマフィアの『ボス』」
「何いってんだ!?」
「図に乗ってそう名乗ってるそうよ。フィッシング詐欺の元締めらしいの。最悪なのは、ヤツらに目をつけられたら、徹底的に脅され続けること。詐欺の片棒を担がされて、家族まで脅迫して破滅するまで追い込む」
聞いているだけでも鳥肌がたつ。それに胸が嫌な気持ちで支配されていく。
自分たちが知らないだけで、そんなにも悪鬼羅刹な人間が存在するだなんて。
「うちの生徒にも被害者がいるらしいの。彼らは子供を中心に狙ってる」
「そのボスの名前は」
「さあ、わからない。彼らに脅されて誰も証言しないから、警察ですら実情を把握できないそうよ」
「そこから調べろってこと!?」
「『正義』を語る怪盗団ならそれくらいやって見せなさいよ。それとも、明智くんの言うとおり、正義なんて存在しないのかしら」
かなり棘のある言い方だ。
煽っているとわかっていてもあまりいい気分ではない。
「なんかチクッと言い返せねえのか?」
「チクッ……」
「絶対言うと思った!」
蓮とモルガナの漫才みたいなやりとりはいいとして、生徒会長が話を続ける。
「彼らは渋谷を中心に活動している。それだけが頼りの情報。期限は二週間。すぎれば、すべての証拠を警察と学校に提出する。私の期待、裏切らないでね」
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すみれ(プロフ) - テイル@パピコ同盟さん» コメントありがとう〜〜!こちらこそ返信遅くてごめんね。更新頑張ります!これからもよろしくね! (2020年7月11日 16時) (レス) id: 28009c6402 (このIDを非表示/違反報告)
テイル@パピコ同盟(プロフ) - 続編おめでとう!最近話せてなくてごめん!頑張ってね!これからも応援するよ! (2020年7月11日 6時) (レス) id: f918ed1ff0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すみれ | 作成日時:2020年7月10日 21時