検索窓
今日:7 hit、昨日:10 hit、合計:27,757 hit

第百八話 俺たちは信じる ページ25

質問の内容は『怪盗は実在すると思うか』というものだった。実在すると思う人は手元のスイッチを押す。Aたち怪盗団はもちろんスイッチを押した。


「4割くらい、かな。明智くん、どう?」


「意外と多いですね、ちょっと驚きました。みんなは、怪盗の行いについてどう思っているのかな」


女子アナは席を立ち上がって観客席に来る。そして立ち止まったのは蓮の前に来た時だった。


「それでは、こちらの学生さんに訊いてみましょうか。もし仮に、怪盗がいるとして……彼らのこと、どう思いますか」


「正義そのもの」


蓮の答えには迷いがなかった。さすがリーダーと言える、格好いい答えだ。


「言い切りますね」


「怪盗は法で裁かれるべきだ、と主張した明智くんとは反対の意見だね」


「ええ、ここまでハッキリと怪盗を肯定するのは興味深い。じゃあもう一つ質問。もし君の身近な人……例えば、君の隣に座ってる友達がある日突然、心を変えられたらどうする?怪盗の仕業とは考えない?」


「まったく考えないです」


だって俺たちは悪人の心しか変えない。俺たちは弱い立場の人を助けるために怪盗をしているのだから、そんなことをするはずがない。蓮はそう考える。


「なかなかいい意見だね。時間もあるし、もう一人くらい訊こうかな。……彼の後ろに座っている女の子、君はどう思う?」


蓮の後ろに座っている女の子……ってわたしだ!?
吾郎見ると「さあ、どう答える?」と興味津々な顔をしているから絶対わざとだ。
それでも訊かれたのだから答えないわけにはいかない。


「わたしは、怪盗は正義の存在だと考えます」


「前の席の彼と同じ意見だね。それはなぜ?」


さっき、吾郎が「怪盗団は法で裁かれるべき」と言ったとき、少しドキッとした。
それは彼の意見が正しいと思った故だと思う。
自分の怪盗としての行動は間違っているのかも、と一瞬だけ考えたがそんな考えは立ち所に消えた。だってわたしは怪盗団である以前に___。


「困っている人を見捨てないからです。わたしは彼らは存在していると思うし、彼らの『正義』を信じたいって思います」


わたしは怪盗団に助けられた張本人。彼らの行動がどれほどわたしのことを救ってくれたことか。吾郎が、周りの人が、怪盗団をどんな風に思っていてもわたしは絶対、怪盗団(わたしたち)の『正義』を信じる。

第百九話 警察が動き出す→←第百七話 僕は否定する



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (27 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
55人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

すみれ(プロフ) - テイル@パピコ同盟さん» コメントありがとう〜〜!こちらこそ返信遅くてごめんね。更新頑張ります!これからもよろしくね! (2020年7月11日 16時) (レス) id: 28009c6402 (このIDを非表示/違反報告)
テイル@パピコ同盟(プロフ) - 続編おめでとう!最近話せてなくてごめん!頑張ってね!これからも応援するよ! (2020年7月11日 6時) (レス) id: f918ed1ff0 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:すみれ | 作成日時:2020年7月10日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。