おまけ 後 ページ42
稀血を飲み干すまでの一瞬間、Aは実弥のことを思っていた。
仲良くなりたいと思ったきっかけはハッキリと覚えている。
Aが自分の体質に気がついたのは柱になってまもない頃であった。
鬼狩り中、思わぬ伏兵に飛びつかれ、振り払えずに暴れていた中、苦肉の策として思いついたのが「噛みつき」であったのだ。
噛んでみると存外美味であった。
そして好奇心に負けて噛みちぎり食べてみたところなぜかパワーアップしたというのが発覚までの経緯である。
そうして特異体質持ちだと言うのに気がついたのだから幸運だ。
新しい自分の能力によろこび、地下室を作ってもらい、鬼を捕獲し幽閉して、爆発的に向上する身体能力に慣れるためにときたまぴょんぴょん跳躍して遊んでいたのだった。
そしてその途中で、楽しそうにカブトムシと戯れている実弥を見つけてしまったのだ。
____え、なにアレ。
それまでの実弥に対する評価はなかなかにひどいものであった。
めっちゃ怖い。なんであんな前開けてんの。目、怖。めっちゃ傷だらけじゃん。
しかしそれが一瞬にして一転した。
____仲良くなりたい。
絶対面白いぞあいつ、と勘が言っている。
____仲良くなりたい!
しかしどうすればいいの分からない。
ああいう人と友達になれたことは今の一度もない。
どうすればいいのか。
考え、考え、考え抜いた結果が話しかけまくるということだった。
しかしこちらはあまり結果が上がらなかった。
むしろ嫌がられているようである。
ならばどうすればいいのか。
Aはさらに考えた。
実弥は凶悪な見た目をしている。
その見た目にたがわず戦闘力がかなり高く、かつ経験値も豊富だ。
おそらく柱の中で2番目に強い。
ということは戦うことが好きなはずだ。
____つまり、自分より強いとわかったら興味を持ってくれる……?
閃いてからは早かった。
肉を五切れ食べ、パワーが爆発し、ものすごい速さで道を駆け抜け実弥の家に訪れ大きな声で叫んだ。
「実弥さーーんッたのもーーッ!!!」
そうして仲良くなることが出来たのだった。
今思い返してみるとなかなかにひどい。
懐に無理矢理ねじりこむやり方でよく通ったなあとAは思う。
Aは瓢箪を投げ捨てた。
そして薙刀を構え、心の中で実弥に感謝の意を述べ、呼吸を静かに整えた。
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みく(プロフ) - すごく素敵なお話でした!! 童磨くん素敵すぎます (2019年8月3日 14時) (レス) id: dac858329b (このIDを非表示/違反報告)
さく(プロフ) - まほろさん» お読みいただきありがとうございます!そして嬉しいお言葉ありがとうございます。削除の件ですが、撤回しようと思います。貴重なお言葉ありがとうございました(●´▽`●) (2019年7月28日 20時) (レス) id: fe3c191e62 (このIDを非表示/違反報告)
まほろ(プロフ) - 作品楽しく読ませていただきました。そして勝手ながら消してしまうのはもったいなとも思ってしまいます…いち読者の勝手なお願いではありますが、どうにか残していただくことはできないのでしょうか? (2019年7月28日 18時) (レス) id: 83522f25c5 (このIDを非表示/違反報告)
さく(プロフ) - りなさん» お読みいただきありがとうございます!そう言って頂けて、書き手として冥利に尽きます。ありがとうございます! (2019年7月27日 1時) (レス) id: fe3c191e62 (このIDを非表示/違反報告)
りな - めちゃくちゃ良かったです!!続きが楽しみです!応援してます!! (2019年7月26日 23時) (レス) id: 55c1958e88 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さく | 作成日時:2019年7月23日 21時