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36 . 煌めきと淀み ページ37

「……あ。恋柱様。目を覚まされたんですね。よかった……。え、はい。私は大丈夫です。え?雨柱様……ですか。はい……。雨柱様、最期は……最期は、自分で自分の首を切っていました。薙刀で、やりにくそうに……。ごめんなさい、私、戦うのに必死でちゃんと見ていませんでした。……すみません。……雨柱様、最期、どろどろにとけているのに笑ってこうおっしゃいました。「早く逃げな」って」



○○



ぼたぼたと鈍い雨音が、実弥の意識を引き戻した。
実弥は上半身を起こし、白い布団を見つめた。


「あっ、風柱様!」


幼い声がする方を見ると、蝶の髪飾りを付けた幼子がパッと笑顔を浮かべて歩み寄ってきている。


「お体大丈夫ですか?5日も眠っていらしたんですよ」
「玄弥とAはどうした」


蝶の幼子の顔が曇った。
当然それを見逃す実弥ではない。
幼子は、目を泳がせ、上を向き、下を向き、肩を落としてから実弥のことを見た。


「玄弥さんは無事です、Aさんは____」


雨足が一気に強まった。

窓を撃つ雨粒は離れ、くっつき、次々に到来する雨粒に打たれ流れゆく。

実弥は起こした上半身を倒し、窓の方を見やった。


「……そうかァ、自害したか」
「はい。……しのぶ様共々、仇を討てたようです」
「そうかィ」


窓から目を離し、目を瞑った。

雨がどんどんひどくなっていくような、そんな感覚に捕われる。

遠くで玄弥の声が聞こえた気がしたが、実弥はあの深い藍の瞳を浮かべてから、もう一度意識を闇の中に沈めたのだった。

終幕コソコソ噂話 前→←35 . 雨の上がらぬ庭にて溶けゆく



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設定タグ:鬼滅の刃 , 童磨 , シリアス   
作品ジャンル:アニメ
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みく(プロフ) - すごく素敵なお話でした!! 童磨くん素敵すぎます (2019年8月3日 14時) (レス) id: dac858329b (このIDを非表示/違反報告)
さく(プロフ) - まほろさん» お読みいただきありがとうございます!そして嬉しいお言葉ありがとうございます。削除の件ですが、撤回しようと思います。貴重なお言葉ありがとうございました(●´▽`●) (2019年7月28日 20時) (レス) id: fe3c191e62 (このIDを非表示/違反報告)
まほろ(プロフ) - 作品楽しく読ませていただきました。そして勝手ながら消してしまうのはもったいなとも思ってしまいます…いち読者の勝手なお願いではありますが、どうにか残していただくことはできないのでしょうか? (2019年7月28日 18時) (レス) id: 83522f25c5 (このIDを非表示/違反報告)
さく(プロフ) - りなさん» お読みいただきありがとうございます!そう言って頂けて、書き手として冥利に尽きます。ありがとうございます! (2019年7月27日 1時) (レス) id: fe3c191e62 (このIDを非表示/違反報告)
りな - めちゃくちゃ良かったです!!続きが楽しみです!応援してます!! (2019年7月26日 23時) (レス) id: 55c1958e88 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さく | 作成日時:2019年7月23日 21時

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