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27 . 火蓋が切って落とされ、雨はいよいよ強くなり ページ28

「へぇ……あ、俺、君、Aちゃんは知ってる!そのキラキラしてる髪の毛。綺麗だなあって思ったんだよ。あと変なことも言ってたね。なんだっけ」

Aは全てを聞き終える前に地面を蹴った。

瞬きする間に童磨の目の前まで近づいており、しかし童磨は慌てず下から扇を振り上げる。
扇を腹で受け止め、首目がけて薙刀を振るう。童磨は体を反らし回避、薙刀は空を切った。
上から飛来するカナヲの刀を扇で受け止めて払い飛ばし、童磨は3回バク転して舌なめずりをし、突然驚いたような顔になった。


「あれぇ?猗窩座殿、もしかして死んじゃった?」


Aは童磨から距離をとり、鬼の肉をさらに取り出して食べた。


「一瞬変な気配になったけど気のせいだよね。猗窩座殿が何か別の生き物になるような……」


「死んじゃったからもうわかんないや」とケラケラ笑う童磨を見ながら、Aはさらに肉をもうひとつ食べる。
腹の傷は既に治っていた。

一方カナヲは、刀を強く握りしめたまま童磨を睨みつけている。
普段の柔らかい目とは全く違う、尖った刃のような瞳は、常人が見れば恐れ震えて回れ右をするほどにギラついていた。

童磨はそういったことをとくに気にもせず、一人で話し続けている。


「まあ……猗窩座殿が負けたのも仕方ないよね。猗窩座殿って絶対女を食わなかったからさあ」


困ったような顔をしていた童磨は手を広げニコリと笑った。
面白いくらいに表情が動く。


「俺は言ったんだよ!女は腹の中で赤ん坊を育てられるくらい栄養分を持ってるんだから、女を沢山食べた方が早く強くなれるって。だけど猗窩座殿って、女を食わない上に殺さないんだよ!それを結局あの方も許していたしずるいよねえ。猗窩座殿は生かされてた。特別扱いだよ」


「でも……」童磨は悲しそうに俯いた。
「死んでしまうなんて……」
右手で顔をおおった。虹の目からは涙が溢れている。
「一番の友人だったのに……」と静かに泣く童磨は、また一種の美しさをたたえていた。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 童磨 , シリアス   
作品ジャンル:アニメ
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みく(プロフ) - すごく素敵なお話でした!! 童磨くん素敵すぎます (2019年8月3日 14時) (レス) id: dac858329b (このIDを非表示/違反報告)
さく(プロフ) - まほろさん» お読みいただきありがとうございます!そして嬉しいお言葉ありがとうございます。削除の件ですが、撤回しようと思います。貴重なお言葉ありがとうございました(●´▽`●) (2019年7月28日 20時) (レス) id: fe3c191e62 (このIDを非表示/違反報告)
まほろ(プロフ) - 作品楽しく読ませていただきました。そして勝手ながら消してしまうのはもったいなとも思ってしまいます…いち読者の勝手なお願いではありますが、どうにか残していただくことはできないのでしょうか? (2019年7月28日 18時) (レス) id: 83522f25c5 (このIDを非表示/違反報告)
さく(プロフ) - りなさん» お読みいただきありがとうございます!そう言って頂けて、書き手として冥利に尽きます。ありがとうございます! (2019年7月27日 1時) (レス) id: fe3c191e62 (このIDを非表示/違反報告)
りな - めちゃくちゃ良かったです!!続きが楽しみです!応援してます!! (2019年7月26日 23時) (レス) id: 55c1958e88 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さく | 作成日時:2019年7月23日 21時

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