検索窓
今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:38,027 hit

25 . 地の底 ページ26

そこは不思議な場所であった。

地面に天井があり、天井に襖があり、横には廊下の床がある。
そしてそれは時おり不規則に動き、予想できない攻撃に怪我をしそうになる。

横から飛び出してきた鬼の首を切り、柄に飛びついてきた小さな鬼を握りつぶす。
襖から飛び出してきた三体の鬼に殴り、蹴り、怯んだところで横薙ぎに一閃、首は仲良く飛び跳ね灰と化した。


____なんでこんなに鬼がいるんだ……


しかも雑魚鬼でなく、かなり強い。
上弦とまではさすがにいかないが、下弦程度の強さはある。

Aは走った。

おそらく無惨は柱を殺せる程度の戦力をここに投入しているはずだ。
そうでなければこんなところに陥れない。

ということは、童磨に会えるかもしれない。

Aの頭の中は童磨でいっぱいだった。
会いたかった。
誰よりも早く会いたかった。

しかし会えない。走って走って襖を開け鬼を切り、また襖を開けても会えない。
会えるのは下弦程度の鬼ばかりだった。

Aはフゥー……と長く息を吐いた。
そろそろフラストレーションが溜まり始めている。


「クソーッ!!」


上から襖を壊し襲いかかってきた敵を蹴りあげ首を切り、ついでに下の天井をめちゃくちゃに切って破壊した。
「フンッ!」という掛け声とともに壊れたところから降りると、パッチリ誰かと目が合った。


「キャッ!」
「わっ!」


一瞬驚いたものの、それが敵ではないということに気づいて着地、バク転して距離を取った。

サイドテールに蝶の髪飾り。
スカートにブーツというハイカラな装いのこの女の子は、たしかしのぶの継子の____


「カナヲ?」
「雨柱……様」


さすがに冷静になってきたAは、ふぅと一息ついて、にっこりと笑った。


「ごめんねビックリさせて……急ごう」
「は、はい!」


Aが走ろうとした瞬間、カナヲが走り始めた。
背中からひどく焦っているのが窺える。

それもそうだ。
カナヲの師範であるしのぶもまたこの空間にいる。
弟子としては師匠がとてつもなく心配なのだろう。

瞬間、近くで大きな音がした。
モゴモゴとではあるが人の声も聞こえる。

カナヲは後ろをちらと向いた。
Aはこくりと頷き、それをみたカナヲは加速し、Aは肉を2切れ食べた。

26 . 融氷驟雨→←24 . 終焉へと向かう音



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 6.3/10 (91 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
58人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 童磨 , シリアス   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

みく(プロフ) - すごく素敵なお話でした!! 童磨くん素敵すぎます (2019年8月3日 14時) (レス) id: dac858329b (このIDを非表示/違反報告)
さく(プロフ) - まほろさん» お読みいただきありがとうございます!そして嬉しいお言葉ありがとうございます。削除の件ですが、撤回しようと思います。貴重なお言葉ありがとうございました(●´▽`●) (2019年7月28日 20時) (レス) id: fe3c191e62 (このIDを非表示/違反報告)
まほろ(プロフ) - 作品楽しく読ませていただきました。そして勝手ながら消してしまうのはもったいなとも思ってしまいます…いち読者の勝手なお願いではありますが、どうにか残していただくことはできないのでしょうか? (2019年7月28日 18時) (レス) id: 83522f25c5 (このIDを非表示/違反報告)
さく(プロフ) - りなさん» お読みいただきありがとうございます!そう言って頂けて、書き手として冥利に尽きます。ありがとうございます! (2019年7月27日 1時) (レス) id: fe3c191e62 (このIDを非表示/違反報告)
りな - めちゃくちゃ良かったです!!続きが楽しみです!応援してます!! (2019年7月26日 23時) (レス) id: 55c1958e88 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:さく | 作成日時:2019年7月23日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。