25 . 地の底 ページ26
そこは不思議な場所であった。
地面に天井があり、天井に襖があり、横には廊下の床がある。
そしてそれは時おり不規則に動き、予想できない攻撃に怪我をしそうになる。
横から飛び出してきた鬼の首を切り、柄に飛びついてきた小さな鬼を握りつぶす。
襖から飛び出してきた三体の鬼に殴り、蹴り、怯んだところで横薙ぎに一閃、首は仲良く飛び跳ね灰と化した。
____なんでこんなに鬼がいるんだ……
しかも雑魚鬼でなく、かなり強い。
上弦とまではさすがにいかないが、下弦程度の強さはある。
Aは走った。
おそらく無惨は柱を殺せる程度の戦力をここに投入しているはずだ。
そうでなければこんなところに陥れない。
ということは、童磨に会えるかもしれない。
Aの頭の中は童磨でいっぱいだった。
会いたかった。
誰よりも早く会いたかった。
しかし会えない。走って走って襖を開け鬼を切り、また襖を開けても会えない。
会えるのは下弦程度の鬼ばかりだった。
Aはフゥー……と長く息を吐いた。
そろそろフラストレーションが溜まり始めている。
「クソーッ!!」
上から襖を壊し襲いかかってきた敵を蹴りあげ首を切り、ついでに下の天井をめちゃくちゃに切って破壊した。
「フンッ!」という掛け声とともに壊れたところから降りると、パッチリ誰かと目が合った。
「キャッ!」
「わっ!」
一瞬驚いたものの、それが敵ではないということに気づいて着地、バク転して距離を取った。
サイドテールに蝶の髪飾り。
スカートにブーツというハイカラな装いのこの女の子は、たしかしのぶの継子の____
「カナヲ?」
「雨柱……様」
さすがに冷静になってきたAは、ふぅと一息ついて、にっこりと笑った。
「ごめんねビックリさせて……急ごう」
「は、はい!」
Aが走ろうとした瞬間、カナヲが走り始めた。
背中からひどく焦っているのが窺える。
それもそうだ。
カナヲの師範であるしのぶもまたこの空間にいる。
弟子としては師匠がとてつもなく心配なのだろう。
瞬間、近くで大きな音がした。
モゴモゴとではあるが人の声も聞こえる。
カナヲは後ろをちらと向いた。
Aはこくりと頷き、それをみたカナヲは加速し、Aは肉を2切れ食べた。
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みく(プロフ) - すごく素敵なお話でした!! 童磨くん素敵すぎます (2019年8月3日 14時) (レス) id: dac858329b (このIDを非表示/違反報告)
さく(プロフ) - まほろさん» お読みいただきありがとうございます!そして嬉しいお言葉ありがとうございます。削除の件ですが、撤回しようと思います。貴重なお言葉ありがとうございました(●´▽`●) (2019年7月28日 20時) (レス) id: fe3c191e62 (このIDを非表示/違反報告)
まほろ(プロフ) - 作品楽しく読ませていただきました。そして勝手ながら消してしまうのはもったいなとも思ってしまいます…いち読者の勝手なお願いではありますが、どうにか残していただくことはできないのでしょうか? (2019年7月28日 18時) (レス) id: 83522f25c5 (このIDを非表示/違反報告)
さく(プロフ) - りなさん» お読みいただきありがとうございます!そう言って頂けて、書き手として冥利に尽きます。ありがとうございます! (2019年7月27日 1時) (レス) id: fe3c191e62 (このIDを非表示/違反報告)
りな - めちゃくちゃ良かったです!!続きが楽しみです!応援してます!! (2019年7月26日 23時) (レス) id: 55c1958e88 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さく | 作成日時:2019年7月23日 21時