両片思いⅡ【Fischer's】 (ページ10)

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No.55 潮の香りに置いていかれてページ10

You side

『おぉ＿＿＿綺麗……！』

終業式の日からしていた海の約束。それが今日この日である。

今日は白いシースルーのノースリーブに、ネイビーの膝上丈のスカート、白のサンダル。麦わら帽子は風に飛ばされそうでやめた。

モ「A、荷物置きな」

その声に振り向くとみんなはパラソルの下にシートを敷いて荷物を置いていた。

『あぁ〜…ぺけとダーマも来れたらよかったのに……！』

そう、2人は本当に突然予定が入り約束が叶わなかった。だから、沢山写真撮って送って、2人の分も楽しもうって今朝みんなで話した。

水着だけ持って、私は先に着替えさせてもらうことに。海の家の更衣室へ。

黒地に白い水玉模様の入ったビキニタイプの水着に、同じ模様のスカート、上には薄黄緑のTシャツの裾を縛った感じの。お臍周りが少し涼しい。

『たっだいま〜』

ン「おかえり〜……か、可愛い…！」

『えへへ、ありがと』

戻るとみんなから嬉しい褒め言葉ばかり。少し恥ずかしい。私と交代で更衣室に行った5人を見送り、パラソルの中で海を眺める。

太陽の光が乱反射して波が輝いている。早くあの中に飛び込みたいという衝動に駆られるもグッと堪える。

暫く煌めく海を眺めていると、不意に後ろから声が。

？「っぶね、よかった…」

声の主はパラソルを潜り私の隣へ腰を下ろした。

『あれ、早かったねシルク』

シ「あぁ？まぁ…」

どうしたのだろう、さっきから目を合わせてくれない。

シ「いや、ダホがさ…。Aの事1人残してきてナンパでもあってねぇかなんて言うから……」

『……っふふ、そんな事かぁw 私なんてナンパされないよーw』

シルクにならナンパされても付いてくけど、と冗談で言えば「あんま茶化すな」と怒られてしまった。

シ「今日明日、お前1人にならないで」

『え？』

シ「ナンパされてどっか連れてかれても見つける自信ねぇ」

そうだ、彼は私の想い人なのだ。そんな彼にこんな台詞を真剣な顔で言われてしまったら、私の心臓が。しかも彼は上裸。今更だが目のやり場に困る。

シ「…水着、似合ってると思うぞ」

『へ、』

シ「……二度は言わねぇ」

『嬉しいっ、ありがとっ…！シルクもいい身体してるよ』

今言える最大のお返しを言ったつもりなのだが、今思えばとっても恥ずかしいことを言った。

『ごめっ、ヘンな意味じゃないよっ!!』

シ「わかってるよあほ……」

2人きりの時間も残りのメンバーが戻ってきたことで終わりとなった。