両片思いⅡ【Fischer's】 (ページ7)

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No.52 揶揄い上手ページ7

You side

夏休みも約2週間が過ぎ、数日前にはいよいよ8月が到来した。

今日は8月の4日目。つまりンダホの誕生日なのだ。今日は集まれた数人のメンバーと私で彼の家へ押しかけパーティーを開催する。

朝早くにマサイの家に集まりそれぞれ役割分担をして、私は主に料理担当。男衆はパーティーをどんな形で始めるかと、何をするかを話し合っている。

『私は何を作ればいいの？ケーキは確定として』

シ「そうだな…、肉系とか？面白めの」

『了解』

パーティーは夕方からだし、朝方の今から始めれば間に合うだろうという甘い考え。

現段階では全体にクリームを塗るところまではできている。あとは苺と、ホワイトチョコで“ダホちゃん”と書いたチョコプレートを乗せるのみ。

『よし、ケーキは完成…っと』

あとは肉……といっても、肉料理なんて山ほどある。何にしようか悩みながらふとみんなの会話を聞いていると、

モ「俺スーパー行ってこようかな」

マ「あ、じゃあコーラ買ってきてくんね」

シ「モトキ何買うん？」

モ「買う訳じゃないけど、この間トド肉とか言うやつ見つけてさ」

おいおい君たち、ちゃんと話し合わないと間に合わないんじゃないか。

私の心配も露知らず、モトキは「他にも熊肉とか鹿肉もあったんだけど気にならない？」と投げかけるも、2人は作り笑いで凌いでいた。

ん？それいいかも。

『ねぇモトキ！スーパー私も一緒に行きたい！』

モ「え？俺と？」

私はモトキの腕を引き足早に近くのスーパーへ。

モトキは私が一度手に取った籠を取り、持つよ、と優しく笑った。マサイに頼まれたコーラを人数分籠に入れ、私はモトキに尋ねる。

『モトキ、さっき言ってたお肉たちどこ？』

モ「お肉たちって、熊肉とかのこと？」

私が肯定すると、「こっちこっちー」と私の前を歩いて先導してくれるモトキ。やってきたのは缶詰のコーナーだった。

『これは…いけるよモトキ！』

モ「うん？」

熊肉や鹿肉、トド肉の缶詰を前に目を輝かせる私に、モトキは不思議そうに首を傾げた。

私はそれらを籠に2つずつほど入れてレジへ向かった。この間のシルクと同じように、モトキが「払うよ」とお金を出してくれたのだが。

『いいの？』

モ「男としては女の子に払わせたくないわけ」

「特に…意識してる女の子には、ね」と悪戯に笑うモトキに私は目を丸くし、

モ「冗談だよ」

彼はそう言って私の頭に手を置いた。

モトキは私を揶揄(からか)うのが上手だ。