両片思いⅡ【Fischer's】 (ページ25)

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No.69 幸せとはページ25

Silk side

“忘れて”

わかり易すぎる作り笑顔を浮かべて走り去ったA。せっかく気づいたこの気持ちには、もう蓋をするしかないのか。

……好きな人に突き放されるのってこんなに辛いのか。

＿＿＿＿なんで俺たちこんなにすれ違ってばっかなんだよ…。

今まで俺はAの気持ちを無下にしてきて、今更遅いのに気持ちに気づいて。だけどその代わりにAの気持ちは離れていく。

俺はずっとAを傷付け、不幸せにしてきた。

だから、俺はお前に幸せになって欲しい。

俺じゃ幸せにできないなら、俺じゃない誰かが幸せにしてやって欲しい。

俺は、お前の幸せを願うよ。

•*¨*•.¸¸☆*･ﾟ

You side

教室に入って速攻で机に突っ伏す。HRが始まるまでずっと。

里帆「A…？なんかあった？」

周りの人からも沢山心配されてしまって、その度に「大丈夫だよ！」と答えるものの、本音では全然大丈夫ではない

里帆『ねぇ……今日一緒に帰らない？話したいことがあるんだけど』

『うん！いいよ！』

これで少しは気を紛らわせられるかもしれない。そう思って承諾。

今日は二学期初日ということもあってすぐに学校が終わった。

『話したいことって何？悩んでること？』

里帆「えっとね、唐突すぎると思うんだけど、言っとかないといけないと思って……」

かなり大事な話なのか、里帆は目線を彷徨わせて口を開く。

里帆「私ね、シルクくんが好きなの」

心臓が止まるかと思った。

『そ、そうなんだ！うん、凄く…似合うと思うよ！』

本当に突然の事で、上手く口が回らない。

里帆「Aがシルクくんのこと好きなのも知ってるし、応援したいと思ってるんだけど……。でも、黙ったままは嫌だなって」

『わ、私もうシルクのこと好きじゃないよ！』

そうだ、決めたんだもん。もう迷惑かけないって。それに里帆なら可愛くて性格も良くて運動できて……うん、シルクにぴったりのいい人だと思う。

里帆「え、そうなの？喧嘩でもした？」

『ん……ちょっとだけ、ね』

里帆「好きじゃないって、嘘じゃなくて？」

『…嘘じゃないよ。もう好きじゃない』

里帆「…分かった！」

『私応援するよ！相談も乗るし、色々！』

里帆「ありがと！私もAに似合う人見つける！絶対の絶対！」

里帆も嬉しそうに微笑む。きっと彼女ならシルクを幸せにしてくれるし、シルクもまた彼女を幸せにしてくれるだろう。

親友と、好きだった人の幸せを。