両片思いⅡ【Fischer's】 (ページ11)

今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:66,035 hit

No.56 潮の香りに置いていかれて② ページ11

Silk side

“シルクもいい身体してるよ”

さっきの言葉を思い出すと、ボフッと頭から煙が出てるんじゃないかと思うほど顔に熱が集まる。その熱を隠すように俺は海へ飛び込んだ。

シ「……ぷはっ！」

水面から勢いよく出した顔を振り髪をかきあげ、顔の水を手で拭った。浜辺ではAとマサイが楽しそうに話していた。

『ほら今日はカメラなし！マサイも海入ろ？』

マ「ちょ…っ、わかったってw」

マサイの手を引くA。マサイのやつ、Aの水着姿見て照れてやがる。

そりゃ可愛いよ、似合ってるし。Aは小柄で、露出された白くて華奢な手足とか腰まわりは、多少幼さは残るものの十分“美”と表現できる。

シ「……て、俺はどこ見てんだし…」

ブンブンと頭を振って今の思考を投げ捨てる。今日は自分の気持ちを知る手がかりを探そうと思っていたのに、こんなんじゃまともに考えられない。

マ「1枚撮っていい？」

『私でよければいつでもどーぞ！』

カメラを構えるマサイにとびきりの笑顔でピースを送るA。カシャッとシャッター音が聞こえると、マサイも嬉しそうに微笑んだ。

＿＿＿＿あの2人できてんじゃねぇか？

そんな風に考えてしまうほど、公然の場でイチャついているようにしか見えない。

モ「シルクー！これにンダホ乗っけよ！」

と、そこへ浮き輪を持ったモトキが走ってきた。何やら浮き輪にダホを乗せてひっくり返したいのだそう。

シ「おう！やるか！」

みんなを呼んで、ンダホを浮き輪に乗せ全員で押す。

ン「うぉぉぉ！すげぇぇ！」

ぷかぷか浮くンダホは叫びながら大はしゃぎである。

シ「いくぞー！せーのっ、」

ンダホを除いた5人で一斉に浮き輪をひっくり返すと、ンダホは大きな水飛沫をあげて海へバシャン。

シ「うおぁっ！w」

『わぁっ！w』

ザ「しょっぺぇ！w」

反射的に腕で飛沫を避けるみんな。隣にいたAと肩がコツンと当たって、ほんの少しだけ心臓が跳ねる。

『次シルクもやる？w』

彼女はとくにお構い無しのようで、俺の顔を覗き込んでそう言ってくる。

シ「やんねーよw」

その場しのぎでそう答えたものの、実際はただ肩が触れたくらいでこんなに脈打つ心臓を抑えるのに必死だった。

『ねぇ！シルク！こっち来て！』

シ「…あー？」

『ふふっ、だーいすき！』

＿＿＿＿あぁ、また。何だこれ…。こんなの、恋してる時しか経験したこと……。