両片思いⅡ【Fischer's】 (ページ4)

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No.50 デートもどきページ4

You side

シ「帰るぞ」

私の手からモップを取り背を向けたシルクに甘え、私は急いで着替えを済ませた。

『お待たせ』

私が更衣室から出ると、シルクはすぐ横の壁に背を預けて待っていた。

シ「…帰りどっかで飯食ってくか？」

『いいね。あ、新しくできたパスタ屋さん行く？』

シ「あー、駅前の？じゃそこでさっきのシュート練の動画送って！」

『いいけど……え、これデート？』

シ「は!?デートじゃねぇ……し…！」

シルクも、部活帰りに男女2人でご飯食べに行くなんて、デートにほかならないことに気づいたようで言葉が尻すぼみになる。

『まぁデートじゃなくてもいいよw シルクと2人で出かけられるだけで嬉しいもん』

シ「…腹減ったから早く行くぞ」

私は半歩先を歩くシルクについていき、体育館を後にした。

駅前のお店まで、シルクは細かい所で男らしかった。いつも道路側を歩くし、混雑している横断歩道では私の手を引いて進んでくれる。しかもそれらをごく自然に、さり気なくやってくれるのだ。

『シルクと付き合えたら、こんな感じなのかなぁ…』

シ「ん？なんか言ったか？」

『なんでもないよw』

パスタ屋さんに着くと2人席に案内されて、2人とも注文を済ませる。シュート練の動画を送ると早速イヤホンを片耳に付けてチェックしだす。バスケのこととなると本当に真剣で、何度も何度も再生しているみたいだ。

シ「＿＿＿＿＿＿!?ちょ、待てこれ……！」

『ん？どうかした？』

シ「お前さぁ……ほんと…!!」

自分が付けていないもう片方のイヤホンを差し出して片手で顔を覆うシルク。これは相耳していいということだろうか。

動画が再生されイヤホンからバッシュやボールの音が流れる。スマホの画面にはシルクが映っていて、綺麗にシュートを決めていく。

＿＿＿＿あ、ここかっこよかったとこだ。

シルクが汗を拭きTシャツから腹筋が覗く。直後、イヤホンからクスリと笑う声が聞こえて、

『バスケしてる時のシルクかっこい……』

そう呟いた私の声が聞こえた。

『ぇ……、待って声入ってると思ってなかった……！』

顔に熱が集まるのが分かって両手で顔を覆う。今、とても恥ずかしい。

シ「俺の方が恥ずいわバカ……！」

シルクはコップの中のミルクティーをストローで吸い、喉を鳴らした。そして間もなく料理が運ばれてきて、私達は口数が少ないまま食べ進めた。