水槽に迷い込んだ貴女Ⅱ【Fischer's】【短編集】 (ページ10)

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『一枚上手』ンダホ×友達ページ10

ンダホside

『だからね、ここはこの公式を使って……』

ン「これ難しすぎない？俺には無理や…」

俺のすぐ隣に座って教科書の謎の文字の羅列を指差すA。

俺は今彼女の家で勉強を教えてもらっている。

『大丈夫、だほちゃんならできるよ！』

ン「せっかく教えてもらってるのになんか勿体ないっていうかさ…」

『そんなことないって！まずはこの公式を覚えないことには始まらないから、何回も復唱して覚えて？』

俺は言われた通り何回も何回も読んで、やっと目を瞑っても言えるようにまでなった。

『じゃあこの問題やってみて！今覚えた公式に数字を当てはめて、ゆっくりでいいから計算してみよう』

ン「えっと……、ここにこれ入れて、ここが-4だから…」

『お！出来たじゃん！すごいすごい！』

ン「マジで!?やった!!」

『ちょっと休憩しよっ！冷たい飲み物持ってくる！』

パタパタと小走りにAはキッチンに行ってしまった。

正直、この問題解けるようになると思ってなかった。

できなかったことができるようになるって何かいいな。

Aに感謝しないと。

『お待たせ！麦茶でよかったかな？』

ン「大丈夫！さんきゅー」

『ふふっ、はいどーぞ！』

＿＿＿＿やばい、胸見えそ……

立ったままの状態から前かがみになってグラスをテーブルに置くから、服の襟元から胸が見えそうになってる。

『ん？どした？』

ン「……もう、わざととしか思えないよ…？」

『へっ…？なにが…………わぁっ』

彼女の手を引いて自分のすぐ隣に座らせる。

ン「あんまり俺の事からかわないでほしいんだけどな」

『な、なんのこと…？』

ン「俺Aのこと好きだよ。だから言うけど、さっきすげぇ胸見えそうだった。気をつけなよ？」

『う、嘘……//』

彼女は頬を赤く染めて体の前で自分の両腕を抱いた。

ン「あんまり俺の事からかってると何するかわかんないよ？」

俺が少し意地悪くそう言うと、Aは目線を逸らしながら、

『それ、私は嬉しい……けどな…？//』

ン「っ……!?//」

やっぱり、彼女の方が1枚上手だった。

ン「は、早く勉強しよ！次、英語教えて！」

『う、うん！』

＿＿その後の勉強会は少しぎこちなかったとか何とか。