水槽に迷い込んだ貴女Ⅱ【Fischer's】【短編集】 (ページ33)

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『カーテン』マサイ×恋人(mem) ページ33

Aside

朝のスッキリとした空気と、布団の中で私を抱きしめる彼がもぞもぞと動いたことで私は目を覚ました。

私も彼も少しの物音で起きてしまう。今回は地方での撮影で宿をお借りしているが、そんな時はほとんど一緒に目を覚ます。

今朝も目を開けたらマサイの顔が少し上にある。目の前の胸元に顔を押し当てると、そういえば私達は浴衣姿で、おでこには素肌が触れた。

マ「ん……なぁに、おきたの」

『おきちゃった』

2人ともまだ口調が幼いというか、眠気の交じった声音で甘く会話する。数回軽く触れるだけのキスを交わして私は起き上がる。

マ「チェックアウトしたらみんなでどっか食いに行こうな」

私が着替えるのを悟ってか、マサイはそう言って私に背を向けてくれた。私は急いで着替え、マサイに声をかけた。マサイは私を気にすることなく脱ぎ始めた。

ふと窓の外に目をやる。私が窓に近づいてカーテンを開け外を覗くと、高低差もあってとてもいい景色が。

マ「おぉ、いい眺め……」

私の肩にぽんと手を置き自分の方へ引き寄せ、隣に立って同じ景色を眺める。こんなに幸せなことがあっていいのだろうか。

『…写真、撮らないの？』

マ「今はいいや。後で撮る。今はAとこの景色眺めてたい」

『そんな嬉しいこと言ってくれて私は幸せだよ』

マ「俺も幸せ」

マサイはクスッと笑い、自分たちを包むようにカーテンを閉めた。カーテンで区切られた少し黄色がかった空間は、私達がこの世界に2人きりかと思わせるほど幸せなものだった。

マ「俺と付き合ってくれてありがとな」

『こちらこそ、だよ』

マ「俺の結婚相手はお前だからね？」

『勿論だよ』

マサイの手が後頭部に添えられ、彼のかっこいい顔が近づく。目を瞑ると、唇に柔らかい感触が。だんだんとそれは深く熱いものに変わった。

『っは……っ、朝からやぁーだっ』

マ「ははw じゃあシルク達の部屋行こーか」

私はカーテンを開けようと端に手をかけると、その手をマサイに掴まれ、「待って」という声が聞こえた時には彼の唇が私のおでこに触れていた。

マ「ん、これでおっけ」

『……そんな不意打ちずるい』

マ「行こ。シルクが待ってるよ＿＿＿ほら、そこで」

『……え？』

マサイがシャッとカーテンを開けると、部屋のドアの前にはシルクがキャップの位置を直しながら立っていた。

シ「おはよ。朝からお熱いな」

『見てたの!?』

マ「さ、行くよー」

やっぱり彼には敵わないのかもしれないや。