水槽に迷い込んだ貴女Ⅱ【Fischer's】【短編集】 (ページ4)

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『守りたい(2)』マサイ×両片思いページ4

マサイside

翌朝、俺はダーマからの着信で目が覚めた。

マ「なんだよ、こんな朝早くから」

ダ「なんだよってお前なぁ…！一大事だぞ!?今俺シルクの家にいるんだけどさ、お前今日のA見たか!?」

何がそんなに一大事だと言うんだ、と気になったが、見てねぇよと一言返す。

……まさかAに何かあったのか…？

ダ「とにかくすぐこっち来い！」

返事をする間もなく切られた通話。俺もすぐに着替えて家を出た。

ダーマの電話から5分もしない内に鍵を開けっ放しのシルクの部屋に駆け込んだ。普段なら危ねぇぞと注意するところだが、そんなことを考えてる暇はない。

マ「おい…！Aが、どうし……た、って……」

『ぁ……ま、さい…？なんで……！』

マ「お、お前こそ、なんでそんな……」

言葉を失った。彼女とは昨日会ったばかりだ。

＿＿＿そこには、腰まで伸びていた綺麗な長い髪を、鎖骨辺りまでバッサリと切ったAが立っていた。

ダ「俺がマサイ呼んだ。あとは2人で」

シ「俺たちは2時間くらい家空けるから」

Aが引き止めたのにも応じず、2人は出ていった。きっと気を遣ってくれたんだろう。

マ「A、話がある。とりあえず座って」

『は、はい…』

俺は彼女の手を引いて向かい合って座らせた。

＿＿＿伝えるなら今しかない、よな。

マ「A。俺、ずっと前から…、Aのことが好きだ。俺がヘタレすぎて今まで伝える心の準備とか出来てなかったし、言うのすげぇ遅くなった」

『……うんっ…』

彼女の瞳は既に潤っていて今にも涙の雫が溢れそうだ。

マ「俺、Aが好き。大好き、超好きだ。お前の笑顔をずっと傍で眺めてたい。守りたい。だから、俺と付き合ってほしい」

『……っ、うん…うんっ……！すき…、わたし、も、マサイのことずっと前から…！』

必死に涙を拭いながら、微笑みながら、俺の事を好きだと、そう言った。

マ「昨日嘘ついてごめんな、俺ロングのAも今のAも、超好き」

『……マサイがセミロング好きって言ったから切ったのに…。意味なかったってこと…？』

マ「言ったろ。今のお前も超好きだ。しかも俺のために切ったとか、お前可愛すぎて心臓張り裂ける」

少し上目遣いでそう聞いてくるAが本当に可愛くて思わずぎゅっと抱きしめた。

わっ、と小さく漏らした声も、少し遠慮がちに俺の背に回した手も、鼓動がどんどん速まっていくのも何もかも愛おしい。